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「武豊は何度でも帰ってくる」ドウデュースで有馬記念を制した武豊がレース後に…不屈の天才騎手から届いた“恩人への鎮魂のメッセージ”

posted2023/12/25 17:03

 
「武豊は何度でも帰ってくる」ドウデュースで有馬記念を制した武豊がレース後に…不屈の天才騎手から届いた“恩人への鎮魂のメッセージ”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

有馬記念を制したドウデュースと武豊。千両役者がクリスマスイブの中山競馬場で劇的な復活を遂げた

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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JIJI PRESS

 イブの大混戦を断ったのは、レジェンドが操る稀代の切れ者だった。

 第68回有馬記念(12月24日、中山芝2500m、3歳以上GI)で、武豊が騎乗した2番人気のドウデュース(牡4歳、父ハーツクライ、栗東・友道康夫厩舎)が半馬身差で優勝。昨年のダービー馬が、前週怪我から復帰したばかりの主戦騎手を背に、見事、GI3勝目をマークした。

最後に末脚を爆発させる“世界で武豊だけ”の技術

 行きたがる馬をギリギリのところで我慢させる技術は、さすが武豊だ。

 ゆっくりとゲートを出て、拳の高さを微妙に調整しながら、行く気を抜くようにして道中を進む。後方でリズミカルにドウデュースの全身を伸縮させ、2周目の3コーナーで軽く促すと、外から一気に進出。直線入口で内のスターズオンアースと馬体を離して並走し、先頭のタイトルホルダーを射程にとらえた。

 ラスト200m。武の右鞭に応え、ドウデュースがさらに末脚を伸ばす。が、内のスターズオンアースがなかなか抜かせず、前のタイトルホルダーも止まらない。

 ラスト100m。ドウデュースがスターズオンアースより頭ほど前に出た。そのまま併せ馬の形で内のタイトルホルダーをかわし、スターズオンアースを競り落として先頭でフィニッシュ。武が鞭を持った右手を突き出した。

「状態はすごくいいと思ったので、この馬のいいところを出すことだけを考えていました。前半はこの馬のリズムでゆっくり行って、ラストの脚はいいものを持っているので、そこに賭けていました。道中は少し元気がよすぎるところもありましたが、何とか我慢できたので、残り700mぐらいから、この馬の末脚を生かそうと思いました。4コーナーを回ってくるときの感じがよかったので、何とかなると思いました」

 自身が持つJRA・GI最年長勝利記録を更新する54歳9カ月10日でグランプリを制した武はそう話した。3、4コーナーの伸びは、武が有馬記念初勝利を挙げた1990年のオグリキャップを彷彿させる迫力だった。

【次ページ】 負傷からの再起…天才騎手は何度でも帰ってくる

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