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「山下りに神はいるのか?」箱根駅伝の“超特殊区間”6区のナゾに迫る! 区間記録保持者・館澤亨次が明かす「“キツい”を“痛い”で消した」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/02 17:00
2020年の箱根駅伝、6区で区間新を樹立した東海大・舘澤亨次。山下りの難しさについて語った
「限界以上の力を出して走っていた」
「マンホールを踏んで滑らないように足元に集中していました。結果的にコケずに済みましたが、やっぱり怖さはありましたよ。ただ、6区を任せてもらったので、みんなが見ている前で妥協した走りはできない。ずっと限界以上の力を出して走っていた気がします」
急坂を下り終え、誰もが苦しくてあえぐように走る最後の平地3kmでも力を振り絞った。その理由は熱さから激痛に変わっていた足裏の状態も絡んでいた。
「痛さより心肺のきつさの方がマシだろうと思って、あえてペースを上げました。“きつい”で“痛い”を消したんです」
そんな無謀な応急処置の結果、生まれたのが57分17秒の区間新記録だった。
崖のふちに立って背中を押され続けているみたい
館澤が言う6区の「怖さ」を同じように語ってくれたのは舟津彰馬(小森コーポレーション)だった。
「もう想像がつかないぐらいの下り坂なんですよ」
本戦連続出場が途絶えた時期の古豪・中央大学で1年生主将に任命された舟津は、3年時の'19年に6区を走った。区間17位と好走できなかったが、だからこそ箱根の山下りの難しさを知れた部分もあるという。
「ずっと崖のふちに立って背中を押され続けているみたいでした。時計をしている手を上げることすら許されない。タイムの出なかった自分でさえそう感じたので、タイムを出した人は本当に死ぬ気で、コケてもいいぐらいの気持ちで攻めてるんだと思います」
そこにブレーキを踏む意識が入る余地はない。躊躇は失速と同じだった。
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