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「区間新が直近5年で頻発している」…厚底シューズは箱根駅伝をどう変えた?「40~70秒ほど速くなった」「ナイキが“独占”した年も」
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/03 06:03
もはや恒例となった厚底カーボンシューズの存在。一体、記録上はどのような変化をもたらしているのか
2017年までと現在の区間記録
1区1時間01分06秒(佐藤悠基/07年)→1時間00分40秒(吉居大和/22年)
2区1時間06分04秒(M・J・モグス/09年)→1時間05分49秒(Y・ヴィンセント/21年)
3区1時間01分38秒(O・コスマス/12年)→59分25秒(Y・ヴィンセント/20年)
6区58分01秒(秋山清仁/17年)→57分17秒(館澤亨次/20年)
7区1時間02分32秒(設楽悠太/12年)→1時間01分40秒(阿部弘輝/20年)
8区1時間04分05秒(古田哲弘/97年)→1時間03分49秒(小松陽平/19年)
9区1時間08分01秒(篠藤淳/08年)→1時間07分15秒(中村唯翔/22年)
10区1時間08分59秒(松瀬元太/07年)→1時間07分50秒(中倉啓敦/22年)
※4区と5区は第93回大会から距離変更しているため省略。
他社もカーボンプレート搭載の厚底モデルを続々投入
現在の区間記録は4区のイェゴン・ヴィンセント(4年時、編集部注)以外はすべてナイキを履いた選手が出したものになる(ヴィンセントは1・2年時にナイキ、3・4年時はアディダスで出走)。厚底カーボンシューズが登場して、箱根駅伝の距離でいえば、40~70秒ほど速くなっている印象だ。
ナイキ“一強”の時代を迎えたが、数年前から他社もカーボンなどの硬質プレートを搭載した厚底モデルを続々投入。ランニングシューズ全体のレベルが高まった。トップ選手のほとんどが厚底カーボンシューズを履く時代になり、それが記録となって表れている。
厚底カーボンシューズ登場前の2016年と2022年の男子マラソンのタイムを比べるとよく理解できるだろう。2016年はサブテン(2時間10分切り)がわずか5人だったが、2022年は54人にまで膨れ上がっているのだ。各リスト(記録ランキング)のタイムは以下の通りになる。