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「箱根駅伝を走れなくても…」青学大・原晋監督の妻が断言「マネージャーは社会に出て通用する」 競技を辞めた学生が寮母に告げた“深い言葉”
text by
原美穂Hara Miho
photograph byJIJI PRESS
posted2024/01/03 06:02
2020年の箱根駅伝で優勝を決め、学生たちと喜びを分かち合う青山学院大の原晋監督
「自分は走れない箱根」を誰かに走ってもらうという経験
彼だけでなく、マネージャーになった子は、驚異的なスピードで成長します。マネージャーにはマネージャーの資質を持った、性格のいい、賢い子しかなれませんが、その彼らがさらに成長するのです。
極端な言い方をすれば、選手は、どれだけ練習がつらくても、自分のために走ってさえいればいい。自分のタイムを1秒でも縮められれば、努力した、頑張ったと認められます。仮に自分は箱根を走れなくても、チームの誰かが走って勝ってくれれば、それなりの達成感が得られます。
でもマネージャーは違います。自分のためではなく、選手のために考えて動かなくてはならないし、そうすることが当たり前とされています。自分は絶対に走れない箱根を誰かに走ってもらうため、よかれと思ってやってあげていることも、相手にしてみれば、してもらって当然ということが多々あります。日々、マネージャーから支えられていることを実感できている選手はほとんどいないはずです。
青学のマネージャーは社会に出てもしっかり通用する
これは、会社やご家庭でも似たようなことが言えるのではないかと思います。
支える側と、支えられる側。マネージャーはその両方を経験するので、目標に向かって努力するつらさも、それを支えるつらさも、走ることで得られる喜びも、誰かを勝たせるという喜びも、立場によっていろいろな感情があることを理解します。だから成長するのでしょう。若くしてこういった経験をした彼らは、きっと社会に出てもしっかり通用するだろうなと思います。
わたしも、学生を支えることで多少なりとも成長できたのかなと思います。そういう場を与えてくれたのが神様だとしたら、神様に感謝したいです。
《原監督の就任当初を振り返る第1話、第2話も公開中です》