濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER

「弱すぎ」と言われ…暴走族の特攻隊長だった男のBreakingDown再登場 朝倉未来の“身内”が挑んだ「負けられない闘い」の結末 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph byBreakingDown

posted2023/11/08 11:01

「弱すぎ」と言われ…暴走族の特攻隊長だった男のBreakingDown再登場 朝倉未来の“身内”が挑んだ「負けられない闘い」の結末<Number Web> photograph by BreakingDown

BreakingDown9.5にて久保田覚に判定勝ちを収めたやまかわしょうた(右)

精一杯の言葉「しょっぱくても勝ててよかったです」

 必死になって闘って、やまかわは右ストレートでダウンを奪った。1分間の勝負だから駆け引きなどしていられない。とにかく殴る。そして殴られる。久保田もダウンを奪い返す。

「2人とも気持ちが強い」

 そう言ったのは中継の解説を務めた朝倉海だ。ただ気持ちの強さに体がついてこない。1分間でも全力で動き続けたらさすがに疲れる。もちろん、絶え間なく攻防を展開するだけのスタミナがないとも言えるのだが。

ADVERTISEMENT

 両者ともに手数が減る。ダウン1回ずつで引き分け。延長戦でどうにか手を出していったやまかわが2-1で判定勝利を掴んだ。接戦だった。試合が終わると、ヒザに手をつく形で立っているのがやっとだった。

「しょっぱい試合してすいませんでした。負けれない試合だったんで、しょっぱくても勝ててよかったです」

 それが“元特攻隊長”の精一杯の言葉だった。レベルが高かったわけではない。ベルトを争うような試合ではない。けれどもそこに、悔しい思いをした人間がどうにか屈辱を拭い去ろうとするドラマがあった。格闘技は簡単なものではないと、やまかわの苦闘が物語っていた。あまりカッコいい姿ではなかったが、やまかわが何もかもさらけ出したのは間違いない。

関連記事

BACK 1 2 3
#やまかわしょうた
#10人ニキ
#久保田覚
#朝倉未来
#朝倉海

格闘技の前後の記事

ページトップ