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ボブ・サップにクラウス…格闘レジェンド敗北の「いったいナゼ?」 大物たちがハマった“1分間格闘技”ブレイキングダウンの罠
posted2023/08/31 17:01
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
「なんでここにいるんだろう」
思わず、という感じで朝倉未来が漏らした。『BreakingDown9』(8月26日、アリーナ立川立飛)の出場者を選考する、恒例のオーディション。そこに現れたのはアルバート・クラウスだった。
一世を風靡した中量級イベント、K-1 WORLD MAXの初代世界王者(2002年)だ。トーナメント準決勝では魔裟斗を下している。翌年は魔裟斗に雪辱を許したものの2年連続で決勝進出。K-1 MAXを代表する選手の1人と言っていいだろう。
そんな選手が“1分間格闘技”ブレイキングダウンに参戦する。今回もオーディションでは“喧嘩3000戦無敗”やら“暴走族の元特攻隊長”が睨み合い、罵り合い、乱闘を繰り広げた。そんな光景と、落ち着き払った“レジェンド”の佇まいは違和感だらけとしか言いようがない。
“大物”たちはブレイキングダウンでどう闘うか
朝倉はブレイキングダウンの発案者にして大会プロデューサー。運営のCEOでもある。クラウスは当然、オーディション一般応募ではなくオファーがあって招聘された。だから朝倉もクラウス登場を事前に知っていたはずなのだが、それでも「なんで」と口をついてしまうほどのギャップだったのだ。
『BreakingDown9』にはクラウスだけでなくヘビー級のジェロム・レ・バンナ、ボブ・サップも出場。いずれも一般層にまで知られたビッグネームだ。もちろん全盛期とは言えない。バンナは50歳、サップは48歳、クラウスは43歳。
だがそれでも、こうした“大物”を参戦させる力がブレイキングダウンにあるということは言える。彼ら欧米勢のまとめ役、チームの監督としてピーター・アーツとアーネスト・ホーストも登場している。またK-1 MAXで活躍したTATSUJIもオーディションに参加。スパーリング対決を制して出場権を得た。
全盛期ではないにしても、彼らがブレイキングダウンでどんな試合をするのかという興味は大きかった。プロアマ混在の選手たちの中では、やはり頭抜けた実力があるのではないか。あるいは、衰えを隠せないのか。