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阪神日本一のカギは捕手力? 坂本誠志郎を固定した岡田彰布監督の意図…ノムさんも語っていた「日本シリーズは捕手のためにある」
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/06 20:45
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日本シリーズ第7戦、阪神優勝の瞬間。最後の打者を打ち取った岩崎優投手に駆け寄る捕手の坂本誠志郎
決して強肩ではないがフットワークが良く、捕手としての動き、キャッチングとブロッキングがうまい。阪神のバッテリーエラーは7試合でゼロ。一方でオリックスの捕手の“ミス”がクローズアップされたのは阪神がサヨナラ勝ちを決めた第4戦だった。
この試合のオリックスの先発マスクは森だった。3対3の同点で迎えた9回。1死からマウンドのジェイコブ・ワゲスパック投手は近本光司外野手に四球を許すと、続く中野拓夢内野手の打席で2つの暴投を演じて、走者を一気に三塁まで進めてしまった。ここでオリックスベンチは中野と3番の森下翔太外野手を申告敬遠して満塁策をとったが、最後は大山悠輔内野手に三遊間を破られ手痛い黒星を喫することになる。
記録はいずれも暴投だった。だが2つ目はフットワークのいい捕手なら、少なくとも身を挺してボールを前に落として進塁を阻止できたようにも見えた。1死二塁なら1つの申告敬遠で塁は埋まり、押し出しの重圧のない状況でワゲスパックも打者と勝負できたはずである。
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森のキャッチングとフットワークについては、西武時代から数々の声があるのは、捕手出身の中嶋監督も承知の上ではある。それでも球界トップクラスの打力を持ち捕手もできることが森の魅力でもある。慣れない外野手よりは……という考えもありキャッチャーとして起用するのだろう。ただ、リード面でもシリーズ中の大事な場面ではベンチからサインを出している姿が何度かテレビ中継でも映っていた。そしてあのフットワークとキャッチングである。
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日本シリーズがもし捕手の戦いだとすれば、キャッチングやフットワークに不安のない若月を固定して使い、森は右翼で使い切るという方法もあったかもしれない。結局は捕手・森の守りの不安が、オリックスの命取りになってしまった。だとすれば少なくともあの第4戦のピンチの場面で若月にスイッチしていれば……。ディフェンスを優先したら、その発想もあったはずである。