プロ野球亭日乗BACK NUMBER
阪神日本一のカギは捕手力? 坂本誠志郎を固定した岡田彰布監督の意図…ノムさんも語っていた「日本シリーズは捕手のためにある」
posted2023/11/06 20:45
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kiichi Matsumoto
日本シリーズはキャッチャーの戦いだ、と言われてきた。
「同じ相手と最大で7試合も連続で戦う日本シリーズは捕手にとって難行苦行である」
こう語っていたのは野村克也元ヤクルト監督だった。自身も現役選手として南海時代の1973年にV9を目指す巨人と対戦し、ON封じに死力を尽くした。また監督としても分身ともいえた古田敦也捕手と共に、4度の日本シリーズを戦い、黄金期の西武やオリックス時代のイチロー外野手を相手に、捕手の頭脳を駆使して難行苦行に立ち向かったのである。
だからこそノムさんは日本シリーズにおける捕手の位置づけをこう語る。
「日本シリーズは捕手のためにある。経験すればするほど成長できる」
準備、実戦、反省を繰り返すシリーズの中でどう捕手が成長していくか。そこが日本シリーズの醍醐味でもあるということだ。
そこで今年の日本シリーズである。
38年ぶりの日本一に輝いた阪神と惜しくも栄冠を逃したオリックス。この2チームのシリーズを振り返ったときに、1つ、カギとなったのが坂本誠志郎捕手を固定して戦った阪神と、森友哉、若月健矢両捕手を併用して戦ったオリックスにあったと思う。
そもそも阪神の岡田彰布監督は固定メンバーにこだわる戦いをしてきた。
坂本を固定できたことが阪神日本一のカギ
1番の近本光司外野手に始まり2番の中野拓夢二塁手から森下翔太外野手、大山悠輔内野手の3、4番は不動。5番打者以降は多少、変動はあったが、それでもシリーズ7試合をすべて同じ先発の守備布陣で戦っているのである。