前述したように決して捕手の併用が悪いわけではない。ただ、短期決戦の日本シリーズはまず守りである。そして7試合をトータルで戦う上では、1人の捕手に全試合を任せることがアドバンテージになる。そう考えると坂本という捕手の存在が、阪神にとっては大きなアドバンテージとなっていたということだ。

「ヤギはウチの開幕投手で、去年の（投手）3冠投手！　昨日の（山本）由伸くんにああいう投球を見せられて、今日は意地を見た気がします」

第7戦で先発登板し4回2/3を無失点に抑えた青柳晃洋　©︎Nanae Suzuki

　試合終了後、伸るか反るかの第7戦に先発、5回途中まで無失点のピッチングを見せた青柳晃洋投手をこう称えたのも坂本だった。

　キャッチャーの戦いでもある日本シリーズ。阪神はコミュ力抜群のこの捕手を全戦でキャッチャーに固定できた。

　それもまた38年ぶりの日本一に輝いた阪神の強さの1つであった。