熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ラグビーW杯現地観戦したら“日本代表ユニで応援ヨーロッパ人”だらけ「旅行して気に入ったよ」「マナーが素晴らしい」最初は半信半疑だったが…
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2023/10/28 11:01
日本vsサモア戦後のスタジアム。日本人以外がブレイブブロッサムズのユニフォームを着ている姿が目についた
へそ曲がりな僕は、「長年の経済停滞と少子化で国力が低下し、自信を失っている日本人の自尊心をくすぐるための誇張だろう」と考えていた。
旅行が好きなので、世界の相当数の国で日本が良いイメージを持たれているのは知っている。とりわけ、筆者が長年住むブラジルは超がつく親日国だ。とはいえ、主として歴史的な理由から、世界には日本を嫌う人がいるのも事実だ。
このような現実を踏まえたうえで――日本が文化面での評価に加え、欧州のインテリ層や中流階級に人気があるラグビーを通じてさらに評価を高めているのを目の当たりにして、本当に驚いた。こういうことは、現地へやってきて、自分の目で確かめないとなかなかわからない。
一方で、マルセイユでは“影”の部分を目にした
今大会で、ブレイブ・ブロッサムズは惜しくも2大会連続のベスト8入りを逃した。しかし、彼らが外国における日本と日本人のイメージアップに貢献してくれていることを、日本のラグビー関係者は誇りに思っていい。そして、「ラグビー不毛の地」に近いアジアにあって、長年に渡って地道な努力を積み重ね、世界の強豪と渡り合えるまでの実力をつけてきた日本ラグビーの関係者の奮闘は、大いに称えられてしかるべきだろう。
ただし、世界の頂はまだもう少し先にある。今後、「勇敢な桜」がさらに大きく、さらに美しく開花する様を、我々はじっくりと見届けようではないか。
一方、ラグビーW杯を観戦する中で、開催国であるフランスの“影の部分”を目にすることがあった。それはフットボール界の大スターであるジネディーヌ・ジダンが生まれ育ったマルセイユでの出来事だった――。
<第2回「マルセイユ危険地帯での恐怖」編に続く>