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「ビール1杯960円、高級ホテルは1泊4万7000円~なので民泊」在ブラジル日本人の“格安ラグビーW杯”観戦記「日本戦はリセールでゲット!」

posted2023/09/28 17:02

 
「ビール1杯960円、高級ホテルは1泊4万7000円~なので民泊」在ブラジル日本人の“格安ラグビーW杯”観戦記「日本戦はリセールでゲット!」<Number Web> photograph by Pauline Ballet - World Rugby/Getty Images

フランスvsナミビア戦前のファンたち。とにかく楽しそう

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Pauline Ballet - World Rugby/Getty Images

ラグビーW杯は華やかな雰囲気の中で開催されている。物価高などが報道される中で、世界各国を渡り歩いたブラジル在住日本人ライターが“倹約プラン”を立てつつ現地のラグビー観戦文化を味わった。

 9月17日、フランス中部サンテティエンヌで行なわれたオーストラリア対フィジー。太平洋に浮かぶ人口90万人余りの小さな島の逞しい男たちが、ワールドカップ(W杯)優勝2回を誇るラグビー王国の大男たちを倒した。数少ないフィジー人サポーターの常軌を逸した喜びようが印象に残った(フィジー22-15オーストラリア)。

 21日、南部マルセイユの壮麗なヴェロドロームで行なわれた地元フランス対ナミビアの試合は、フランスが華麗なノールックパス、意表を突くキックによるパスなどで敵陣を突破し、トライを重ねた。力の差は明らかで、地元観衆は試合中でも繰り返し「ラ・マルセイエーズ」(フランス国歌)を合唱して大はしゃぎだった(フランス96-0ナミビア)。

 23日、北部リールで行なわれたイングランド対チリは優勝候補の一角と初出場国の対戦だったが、チリ人サポーターが意外に多く、意気盛ん。前半20分まではチリが大健闘して得点を許さなかったが、一度、ダムが決壊するとその後は一方的だった。それでも、チリ人サポーターの「俺たちは大会に参加できるだけで幸せ」という言葉が印象に残った(イングランド71-0チリ)。

ブラジルから渡航してラグビーW杯を見てみた

 筆者は長年、ブラジル・サンパウロに住み、主としてブラジルと南米のフットボールを取材するスポーツライターだ。2019年に日本で開催されたラグビーW杯をテレビで見てフットボールとの文化の違いに興味を覚えた。そして、9月8日からフランス各地で行なわれているラグビーW杯のプールステージ数試合を観戦している(本当は大会の終盤戦を見たかったが、チケットを入手できなかった)。

 ラグビーファンには白い目をされるかもしれないが――生まれて初めてスタジアムで見たラグビーの試合が、9月17日のオーストラリア対フィジーだった。

 フットボールとラグビーは、いずれも中世の英国のマス・フットボール(村対抗などで、数十人が手も足も使って決められた場所にボールを運ぶことを競った)を起源に持つ。ラグビーは1823年にパブリックスクール(エリート養成機関)ラグビー校のウィリアム・ウェブ・エリス少年がフットボールの試合中にボールを手に持って走り出したのが始まりとされる。一方、フットボールは1863年、ロンドンでフットボール・アソシエーション(イングランド・サッカー協会)が結成され、統一ルールが定められた。

ラグビーを見ていて感じる“大きな違い”

 つまり、同根のスポーツと言っていいのだが、その後、各々が独自の発展を遂げており、今では大きな違いが生じている。

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