熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ラグビーW杯現地観戦したら“日本代表ユニで応援ヨーロッパ人”だらけ「旅行して気に入ったよ」「マナーが素晴らしい」最初は半信半疑だったが…
posted2023/10/28 11:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Hiroaki Sawada
9月28日夜、僕はフランス南部トゥールーズで行なわれるラグビーW杯のプールD第3節日本対サモアを見るため、市内の最寄りの地下鉄駅からスタジアムへ向かって歩いていた。
9月16日にフランスへ入り、17日のオーストラリア対フィジーに始まって21日にフランス対ナミビア、23日にイングランド対チリを観戦。これが大会4試合目だった。
日本人以上にヨーロッパ人がユニフォームを
フランスへ渡る前、日本がらみの試合のチケットをどうしても入手することができず、観戦を諦めていた。それでも、一縷の望みを持ってフランス到着後も連日、大会の公式サイトをチェックしていたら、試合の2日前になってキャンセルを発見。震える手で「Buy Tickets Via France 2023」という表示を押したら、あっけなくチケットが買えた。
「いやあ、本当に運が良かった」、「ベスト8入りの希望をつなぐため、今日は絶対に勝たなければ」と思いながら歩いていると、周囲には驚くべき光景が広がっていた。
昼間、町の中心部で相当数の日本人ファンを目にしていたから、彼らが「ブレイブ・ブロッサムズ」のジャージーを着てスタジアムへ向かっているのは予想通り。しかし、日本人をはるかに上回る数のヨーロッパ人たちが、白と赤のジャージーを着て歩いていたのである。それも、親子連れやカップルが多い。
一体、これはどういうことなのか――。
僕は大学でフランス語を専攻し、南フランスの大学へ1年間、留学した経験を持つ。その後もしばしばフランスを訪れており、近年、この国における日本と日本人のイメージが良好なのは知っていた。とはいえラグビーが非常に人気があり、競技力も高いフランスの人々がこれほどまでにラグビー日本代表に興味を持ち、なおかつ応援してくれているとは――。
トゥールーズは日本代表がベースキャンプを張った場所で、日本に馴染みがあるのは確かだろう。しかし、フランスリーグ(トップ14)で最多の22回の優勝を誇る強豪クラブ・トゥールーズの本拠地で、欧州でも有数の「ラグビーどころ」として知られる町なのだ。
日本旅行したら息子が気に入ってジャージーを
10歳くらいの少年が日本代表のジャージーを着ている一家がいたので、「写真を撮らせてもらっていいですか」と話しかけた。「ええ、いいですよ」と快諾してくれた。
――息子さん、日本のジャージーを着ていますね。どうしてですか?