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「フランス語知らねえのかよ」英語で話しかけると“不機嫌だった”フランス人なのに…日本人に伝えたい「この16年間で海外旅行の常識は激変した」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2023/10/20 11:03
パリ街角のレストラン。筆者はラグビーW杯を現地取材するため、16年ぶりにフランスに滞在した
「これを食べないことには、日本に帰れない」
老眼鏡をかけてその画面を見たイブ氏は、ゆっくりと笑顔を見せ、こう言ってくれた。
「今度はいつ来るんだい?」
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返事を書くために、十数秒、携帯と向き合い、私は翻訳を見せた。
「来年、家族と一緒に来ます」
すると、イブ氏は指を2本立てた。待ってるぞ、という感じで。
非英語圏の取材でも心配なし
私はこれまで、非英語圏に取材に行くのがかなり苦痛だった。言葉のストレスを感じていたからだ。しかし、もう心配する必要はない。
Google翻訳は深いコミュニケーションを可能にしてくれる。これは本当に魔法のような機能だ。これまでは、他の言語で自分の真意を伝えることはなかなか難しかったが、それが可能になった。コロナ禍で海外取材に行く機会がなく、この優れた機能に気づくチャンスがなかったが、万能の武器を手に入れた気分だ。
一方で、この便利さに頼っていると、自分の言葉が上達しないというジレンマもある。でも、56歳になったいま、頼ってもいいかなという気もする。
若い人たちは、言葉と葛藤することに価値があるとは思うけれど。
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