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「フランス語知らねえのかよ」英語で話しかけると“不機嫌だった”フランス人なのに…日本人に伝えたい「この16年間で海外旅行の常識は激変した」
posted2023/10/20 11:03
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
前回、私がフランスを訪ねたのは2007年のワールドカップの時。今回は実に16年ぶりの渡仏だったわけだが、「コミュニケーション」に関していえば、環境は180度変わった。
まず、日常生活では英語が通じるようになった。カフェ、レストランなど観光客を相手にするお店ならほぼ100%。ストレスフリ―である。
16年前は、本当に苦労した。映画の上映館を調べるため、駅のキオスクに「パリスコープ」というパリ版の「ぴあ」(もう、この比喩も若い人には通じないな)を発売日に買いに行った時のことだが、“Is there Pariscope?”と英語で質問したら、フランス語で答えが返ってきて、なにを言っているのかさっぱり分からない。その売店の若者は諦めた感じで、こう言った。
“Later!”
なんだよ。あとで来なってことかよ。向こうも「フランス語知らねえのかよ」と思っていただろうし、こっちはこっちで「Laterくらい、最初から言えるだろ」とムカっと来ていた。
それくらい単純な単語さえ、パリの若者は操れなかった。時代は変わった。2023年、W杯の会場となった規模の都市であれば、英語が話せる人が何万倍もいると感じた。
海外旅行の“常識”が激変した
しかし、海外旅行の本質を変化させるツールが登場した。
Google翻訳である。
このアプリのおかげで、どれほど旅が楽に、そして豊かになったか分からない。
気になるフランス語の文章があれば、それをコピペして「フランス語→日本語」とすれば、たちどころに翻訳される。旧ツイッター、XだとGoogleによる翻訳がただちに出てくる。
たとえば、10月13日にはフランス全土でストライキが計画されていて、交通にも影響が出そうだったが、テレビのニュースを追いかけるよりも、Xで最新情報を見つけて翻訳にかける方が正確な情報をいち早くつかめるのだった。
そして、Googleレンズは最強だ。これはレストランで大きな力を発揮した。メニューにレンズをかざし、翻訳をかけると、フランス語であっても、どんな料理かが分かるのだ!