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アルゼンチン戦ドロップゴール、サプライズ選出&緊急出場もレメキ34歳はなぜ活躍できた?「ポジション変更が余裕を与えていた」
posted2023/10/11 17:00
text by
野澤武史Takeshi Nozawa
photograph by
Kiichi Matsumoto
2019年の「突貫小僧」からの進化
大会を通じてその力を存分に発揮したのがレメキでした。イングランドとの第2戦で負傷したFBのセミシ・マシレワに代わり緊急出場し抜群の安定感を見せると、先発メンバーに入ったサモアとの第3戦ではプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出される活躍。アルゼンチン戦では鮮やかなドロップゴールのみならず、全てのプレーでスピードや正確性、判断力など光るものを見せてくれました。
ウイングとして出場した前回の2019年大会では、強靭なフィジカルを活かした「突貫小僧」といったイメージが強かったのではないでしょうか。レメキの周囲に話を聞くと、実は以前からスキルフルな選手だったという回答がほとんど。それが見えにくかった。ところが今大会は、元々持っていた素地をグレードアップさせ、さながら「技の玉手箱」のように縦横無尽に披露。広い視野で状況を見極めて、時に試合の流れに委ねるような選択を、時には自分で勝負を仕掛けるなど、豊富なオプションを展開していました。
スタンドオフの経験がフルバックで活きた
この4年間でレメキはなぜ、目を見張るような変化を遂げられたのか? 最も大きなきっかけは、ポジションの変化だったと思います。2021年に移籍したNECグリーンロケッツ東葛では、本人が「高校時代以来だ」と明かしたスタンドオフ(10番)に起用されました。10番は試合中に最もボールを触るポジションでいわば「司令塔」。相手のプレッシャーを受けながら自分の手駒のオプションを使ってストーリー化していくような能力が求められます。ラックからボールが出てくるまで約3秒、次のラックが出来るまで約3秒……。こういった数秒間のうちに、ボールを取っては離す、取っては離す、という瞬時の判断を繰り返し、チャンスがあれば自分で抜いていく。