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アルゼンチン戦ドロップゴール、サプライズ選出&緊急出場もレメキ34歳はなぜ活躍できた?「ポジション変更が余裕を与えていた」

posted2023/10/11 17:00

 
アルゼンチン戦ドロップゴール、サプライズ選出&緊急出場もレメキ34歳はなぜ活躍できた?「ポジション変更が余裕を与えていた」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

アルゼンチン戦の後半、一時2点差に迫る40m超えのドロップゴールを決めたレメキ・ロマノラバ。活躍の背景を野澤武史氏が解説する

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野澤武史

野澤武史Takeshi Nozawa

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Kiichi Matsumoto

 ラグビーW杯フランス大会、日本は1次リーグ突破をかけた第4戦でアルゼンチンに27―39で敗れた。2大会連続の決勝トーナメント進出はならなかったが、前回のサモア戦に続きこの試合でも際立った活躍を見せたのがFBレメキロマノラヴァだ。後半16分には、40m近い距離からドロップゴールを成功。W杯に2大会連続で出場した34歳はなぜ、大舞台でこれほどのパフォーマンスを見せられたのか――。元慶応大ラグビー部キャプテンで日本代表経験もある野澤武史氏が解説する。

2019年の「突貫小僧」からの進化

  大会を通じてその力を存分に発揮したのがレメキでした。イングランドとの第2戦で負傷したFBのセミシ・マシレワに代わり緊急出場し抜群の安定感を見せると、先発メンバーに入ったサモアとの第3戦ではプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出される活躍。アルゼンチン戦では鮮やかなドロップゴールのみならず、全てのプレーでスピードや正確性、判断力など光るものを見せてくれました。

 ウイングとして出場した前回の2019年大会では、強靭なフィジカルを活かした「突貫小僧」といったイメージが強かったのではないでしょうか。レメキの周囲に話を聞くと、実は以前からスキルフルな選手だったという回答がほとんど。それが見えにくかった。ところが今大会は、元々持っていた素地をグレードアップさせ、さながら「技の玉手箱」のように縦横無尽に披露。広い視野で状況を見極めて、時に試合の流れに委ねるような選択を、時には自分で勝負を仕掛けるなど、豊富なオプションを展開していました。

スタンドオフの経験がフルバックで活きた

 この4年間でレメキはなぜ、目を見張るような変化を遂げられたのか? 最も大きなきっかけは、ポジションの変化だったと思います。2021年に移籍したNECグリーンロケッツ東葛では、本人が「高校時代以来だ」と明かしたスタンドオフ(10番)に起用されました。10番は試合中に最もボールを触るポジションでいわば「司令塔」。相手のプレッシャーを受けながら自分の手駒のオプションを使ってストーリー化していくような能力が求められます。ラックからボールが出てくるまで約3秒、次のラックが出来るまで約3秒……。こういった数秒間のうちに、ボールを取っては離す、取っては離す、という瞬時の判断を繰り返し、チャンスがあれば自分で抜いていく。

【次ページ】 野球で例えると、投手から捕手への転向

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