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フランスの“ヤバい夜”…「ミトマ!」敵サポーターが絶叫、記者席では怒声「××××(怒)」ラグビーW杯、現地記者を救ったひと言「サカイ!」

posted2023/10/10 17:10

 
フランスの“ヤバい夜”…「ミトマ!」敵サポーターが絶叫、記者席では怒声「××××(怒)」ラグビーW杯、現地記者を救ったひと言「サカイ!」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

筆者は10月5日のEL、マルセイユ対ブライトンを現地取材(三笘薫がフル出場)。写真は興奮して発煙筒をたくマルセイユサポーターたち

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Kiichi Matsumoto

 最大級の遅延が来た。こんな日に限って……。

 10月5日(木)、10時45分トゥールーズ発マルセイユ行きの特急はVoie5、5番線に到着したまま動かない。

 どうやらこの先の駅で人身事故があったようだ。

 発車予定時刻が刻々と変わっていく。11時30分、12時30分……。

 そうこうしていたら、なんと「非常食」が配られた。

 列車を運行しているSNCFの細かい規則までは調べていないが、おそらく一定の時間、遅延が生じた場合に食事の提供があるようだ。日本の場合は特急列車に2時間以上の遅延が発生した場合、特急料金の払い戻しがあるが、こちらでは保険に入っていない限り払い戻しはない(と思う)。

 文藝春秋写真部員Mくんと私は、遅延に対する耐性が出来ており、余裕で構えていた。なにせ新しい出発時刻の12時半まで余裕があるので、Mくんは「ちょっとホームの様子を撮りに行ってきます」と降りていった。

 数分ののち、Mくんは「飲んでる人たちがいました」と言って、写真を見せてくれた。Mくんにポーズまで取っているではないか。遅延なのに! 新幹線が遅延となり、ホームで飲み出す集団は日本ではまず見られないのではないか?

 なにか、人生観が違う。

「ヤバいです…」“158分遅れ”で出発

 フランス滞在4週間、Mくんと私も「フランス流」に少し感化されつつある。ところが――。

 12時半を過ぎても列車が動き出す気配がないと、我々は少しばかり焦り始めた。

 フランスに来たばかりの頃はSNCFのホームページで運行情報を確認することすら知らなかったが、今では自在に活用することができるようになった(これはJRよりも細かく、SNSでの質問に答えるなど、日本より優れている点がある)。

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