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阪神「アレ」の勝因は昨年成績とグラフで比べて見るとクッキリ! 岡田監督は「持ってるやん、おーん」“投高打低”から一転チーム力UP 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/09/20 11:05

阪神「アレ」の勝因は昨年成績とグラフで比べて見るとクッキリ! 岡田監督は「持ってるやん、おーん」“投高打低”から一転チーム力UP<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2005年以来となるセ・リーグ制覇を成し遂げた阪神タイガース。去年との投打成績を見比べてみると……?

 岡田監督は遊撃の中野を二塁にコンバートした。守備範囲はヤクルトの長岡秀樹に匹敵するほど広かったが、肩の弱さを指摘されて失策もやや多かった。そこで中野を二塁に据え、当初は若い小幡を遊撃に抜擢したが、経験不足とみるや木浪に差し替えた。それだけでなく木浪を8番に固定した。

 さらに近本を1番に戻した。やはり近本はリードオフマンが向いていたようで、打点は1番ながら53も稼いだ。実は8番に木浪を固定したことで、木浪が出塁して近本が返すパターンも増えたのだ。近本、木浪は同期入団で、1・2番のコンビを組んでいたこともあり息が合うのだろう。

 そして中野も2番二塁に収まり、つなぐ野球でよい仕事をするようになった。

 3番にバットではあまり活躍していないノイジーを固定させたが、51打点は昨年の近本よりも多い。左ばかりが続く打線に変化をつける意味があったか。ただ後半戦、同じ右打者の森下が台頭すると森下が3番を打つことが多くなった。

 岡田監督が「四球は安打と同じや」と明言したこともあり、出塁率は前年の5位(.301)から1位(.324)と劇的に向上した。中でも4番に座った大山はリーグ最多の92、前年から33も増えた。それにともない打撃も安定感が増し、成績に波がある佐藤輝の5番起用も功を奏した。

藤浪らがいた昨シーズンから投手は安定感があった

【投手陣の比較】※PRはリーグ防御率に基づく総合指標。*は左投手
〈2022年〉
・先発陣
 青柳晃洋 24試13勝4敗 162.1回 率2.05 PR 23.63
 西勇輝 23試9勝9敗 148.1回 率2.18 PR 19.45
 伊藤将司* 20試9勝5敗 136.2回 率2.63 PR 11.09
 ガンケル 16試5勝5敗 92.1回 率2.73 PR 6.46
 ウィルカーソン 14試5勝5敗 70.2回 率4.08 PR -5.65
 西純矢 14試6勝3敗 77.1回 率2.68 PR 5.84
 藤浪晋太郎 16試3勝5敗 66.2回 率3.38 PR -0.15

・救援陣
 湯浅京己 59試2勝3敗43H0S 58回 率1.09 PR 14.63
 岩崎優* 57試1勝6敗11H28S 55回 率1.96 PR 8.56
 浜地真澄 52試1勝3敗21H0S 47.1回 率1.14 PR 11.68
 岩貞祐太* 53試2勝1敗11H0S 42回 率2.57 PR 3.69
 アルカンタラ 39試1勝3敗17H1S 38.1回 率4.7 PR -5.71
 ケラー 34試3勝2敗5H3S 32.2回 率3.31 PR 0.18
 加治屋蓮 39試0勝2敗7H0S 29.2回 率2.43 PR 3.07
 渡邉雄大* 32試3勝1敗10H0S 18.1回 率2.45 PR 1.85

 昨年もリーグ防御率は1位、青柳、西勇、伊藤将、ガンケルとタイプの異なる先発陣が揃って2点台の防御率、ローテーションの充実ぶりはリーグNo.1だった。なお藤浪が前半戦はローテの一角に入っていたのが、遠い昔のように思える。

 また救援陣は湯浅がセットアッパーとして抜群の働き。クローザーの岩崎、浜地、岩貞で「勝利の方程式」を築いていた。

 この優秀な投手陣のおかげで、昨年前半は下位に低迷しながら最終的に3位でポストシーズンに進出できた。

村上・大竹の頑張り→終盤に青柳や西勇の復調

 では、2023年シーズンの投手陣はどのようになっていたか。

【次ページ】 「投打のバランス」マトリックス図を見てみると

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阪神タイガース
岡田彰布
島田海吏
中野拓夢
近本光司
佐藤輝明
大山悠輔
糸原健斗
梅野隆太郎
森下翔太
坂本誠志郎
木浪聖也
青柳晃洋
西勇輝
伊藤将司
西純矢
藤浪晋太郎
湯浅京己
岩崎優
浜地真澄
岩貞祐太
加治屋蓮
渡邉雄大
村上頌樹
大竹耕太郎
才木浩人
石井大智
島本浩也

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