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「甲子園に9度出場したのに…」あの名将はなぜ“高校野球から離れた”のか? いま明かすジレンマ「結果出すなら選手に頭を使わせない、が早い」 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/08/27 11:00

「甲子園に9度出場したのに…」あの名将はなぜ“高校野球から離れた”のか? いま明かすジレンマ「結果出すなら選手に頭を使わせない、が早い」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「結果出すなら選手に頭を使わせないのが早い」。甲子園経験監督は高校野球からなぜ離れたのか

島田 止められまくりましたね。絶対にやめとけ、と。母校でもあるし、教員としてずっと残ることはできたので。

――ご家族の反応はどうだったのですか? 奥様も教員なんですよね。

島田 はい。妻だけは「好きなことをしたらいいんじゃない?」という感じでしたね。僕が監督をやっていたころ、大変だったのを知っているので。監督を辞めるときも何も言わなかったし、学校を辞めるときも「別にいいんじゃない?」という感じで。

「勝ち負け以外」を教えられない…

――現在の肩書きは、東京ヴェルディ・バンバータというアマチュア野球クラブのアカデミー(U-15)の統括ヘッドコーチということでいいんですよね。

島田 そうですね。もともと東京ヴェルディ・バンバータは大人の軟式野球チームだったんですけど、そこに中学生の軟式と硬式、小学生の軟式の野球チームができて、僕はその小・中学の3チームを統括的に見るポジションにいます。あくまで個人事業主なので、雇われているというより、業務委託を受けているという感じです。

――どうやって今の仕事にたどり着いたのですか。

島田 学校を辞めるにしても、野球しかやってこなかったので、何をすればいいのかわからなくて。ネットでいろいろなことを調べているときに、たまたまこのチームのGMでもある熊本(浩志)さんの記事を見つけたんです。すごく野球愛のある方で、それでいて、今の野球はどうなんだろうという視点も持っていた。そこにすごく興味を惹かれて、手紙を書きました。高校野球をやっているとき、いつも感じていたのですが、「勝ち負け」の価値観を教えることはできても、それ以外の価値観を伝えるのがすごく難しかったんですよ。そこがジレンマで。

打った打たないとかは正直、どうでもいい

――高知高校だと特にそうですよね。勝負を優先せざるを得ない。

【次ページ】 高知を離れ、東京で単身赴任

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