「居酒屋で絡まれて…」高校野球を離れた名将が語る“負けたら叩かれる”強豪監督の現実…ズバリ考える「甲子園は本当にいらないのか」

――高校野球の世界を離れてもう丸5年になりますけど、寂しさもあったりするものですか？

島田　ありますよ。夏がきたら、なんかもっと熱くなりたいよな、っていう。監督をやっていたときは、すっごいプレッシャーはありましたけど、そのぶん、ワクワクもしていましたから。今もチームが勝てば嬉しいですけど、甲子園を目指して戦っているときのように心の底から「よっしゃー！」ってなることはなかなかない。もちろん、負けたときは、どん底まで落ち込むんですけど。

現在はクラブチーム「東京ヴェルディバンバータ」で小中学生を相手に指導している　©Kei Nakamura

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監督のラストメッセージ、嫌いだったんですけど…

――心底、悔しがれるというのも贅沢なことですよね。そこまで真剣になれる対象を持っているということですから。

島田　夏の大会で負けると、最後、球場の周りとかで監督が選手に何か声をかけるじゃないですか。僕らの世界では、ラストメッセージって呼ぶんですけど。そのラストメッセージをテレビカメラで撮られるの、昔は、すごく嫌だったんです。僕は選手に伝えたいことがあるからしゃべるのに、撮られると、画面の向こうの人を意識しちゃうじゃないですか。それでは嘘になる。なので、申し訳ないんですけど、テレビの人に撮影はお断りしていたんです。でも今、テレビで監督が「勝たせてやれなくてごめんな」とか言ってるシーンを見ると、ジーンときちゃうんですよ。その気持ち、わかるな、って。やっぱりね、甲子園で選手がバッターを抑えたり、ヒットを打ってすごく嬉しそうな顔をしているのを見ると、こちらも嬉しくなっちゃうんですよ。だから、連れて行ってあげたいんです。甲子園に。ええ思いができるから。

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