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「宮里藍に次ぐ史上2番目の若さで」18歳で脚光を浴びた“元日本代表の逸材”が医師から“引退勧告”…30歳ゴルファー再起のウラ側
posted2023/08/22 11:00
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
「チャンスを掴むのは一瞬だけど、そのチャンスを作るまで頑張ってきた。今の気持ちをそのまま持って、今年はいい成績を出したい。やっぱり今年は優勝したいですね」
今年の6月、ニュージャージー州で行われた米女子ツアー『ショップライトLPGAクラシック』で6位タイに入った野村敏京(のむら・はるきょう/30歳)は笑顔で、力強く、試合を振り返った。
「今年は優勝したい」。前向きな言葉に、心が揺さぶられた。
宮里藍に次ぐ史上2番目の年少V
野村はここ数年、ゴルファーにとっては致命的にもなり得る腰の怪我に悩まされてきた。米女子ツアー通算3勝の実力者だが、2017年4月以来優勝からは遠ざかっている。トップ10入り自体も実に4年ぶりの出来事だった。
日本人の父と韓国人の母の間に生まれ、日本で幼少期を過ごした野村は、その後に育った韓国で10歳の頃にゴルフを始めた。当時ゴルフ界を席巻していたタイガー・ウッズに魅了され、本格的に競技を開始。「どうやったらタイガーのように上手くなれるんだろう?」と、スイングを録画したビデオを何度も見返しては、ひたすら試行錯誤して技を習得していった。
ゴルフアカデミーに通うことなく、一人で練習に励む日々。自主的に自分のゴルフを探求したことは、その才能を早々に開花させる。
17歳になる直前に出場した2009年の『日本女子オープン』でローアマチュアに輝くと、韓国の高校を卒業してすぐに米ツアーの予選会に挑戦。出場権を獲得し、18歳でプロに転向した。2010年末には日本国籍を選択し、翌2011年4月には下部ツアーながらアメリカでプロ優勝を経験。日本国内でも同年5月「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」で初日から首位を守りきりツアー初優勝を飾った。
当時、この優勝は18歳178日と宮里藍(18歳101日)に次いで2番目の年少記録だったことも話題となり、“次世代スター”の一人として脚光を浴びた。
その後、国内ツアーのシード権を手放し、2014年から本格的に米ツアーに参戦。武器である正確なショットやパッティングを武器に躍進すると、2017年までにツアー通算3勝。さらに2016年には日本代表としてリオ五輪にも出場し、メダルまであと一打に迫る4位に入賞を果たした。世界ランキングも、2016年頃から1年以上にわたって日本勢最高位を維持するなど、順風満帆の時間を過ごしていた。