「（一緒に戦ってきた）友だちがプレーしているのを見て、やっぱり、私もゴルフしたいな、って。身体さえ戻ってきてくれたら、優勝争いできる自信はあったので」

　2022年以降、米ツアーにフル参戦できるシード権を失っていたため、出場できる試合数は限られる。それでも現役生活に未練がある自分に気づき、大学にすぐに休学届を提出した。

「大学は選手生活が終わってからでもいける。それに身体のケアに関することをいっぱい学べた。ピラティスもやり始めたことで、腰の状態が上向いてきていたことも大きかったですね」

　心機一転、米ツアーに復帰。ただ、ポジティブな言葉とは裏腹に、野村のプレーに全盛期の頃の勢いはない。ドライバーの飛距離は落ち、持ち前のショットとパッティングの精度も落ちた。「腰の状態は上向いている」とはいえ、安定はしない。予選落ちが続くなど厳しい結果も続いていた。

　だが、それでも、野村のモチベーションは途切れることがなかった。なぜか。

「やっぱりゴルフが好きなんですよ。自分らしさをうまく表現できるのがゴルフなんじゃないかなと。（ゴルフは）仕事なんですが、楽しいですし、仕事と思わずここまでやってきたところがあります」

　改めて自覚した思いは、前述した“4年ぶりのトップ10入り”の原動力になった。さらに今年7月に行われた全米女子オープンには予選会を突破し、2018年以来となる出場を果たして見事に予選通過した（64位タイ）。

「（全米女子オープンの結果は）悔しい気持ちもありますし、久しぶりに“オープン”に出られたことは嬉しかったです。両方の気持ちですね」

　真摯に身体のケアに取り組んだおかげもあり、今季は腰の状態が安定して連戦にも耐えられるようになった。ヨーロッパでの連戦への出場権を得ることはできなかったが、8月末から再び出場権を得た。限られた試合で、来季のシード権を得ることが直近の目標だ。

「以前はいつ引退するか考えていましたが、考え方が変わりました。自分自身が満足できるぐらいまでゴルフをやりたいです」

　タイガー・ウッズに憧れてひたすらスイングしていた少女は今、むしろ当時を上回るほどの情熱をもって再びゴルフに向き合っている。

「今年は優勝したい」

　その言葉を信じ、野村にカメラを向ける。

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