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世界一を目標に掲げたU-20日本代表がW杯早期敗退…“うまい”の定義と「世界との差」を見直して…ここから“本当のキャリア”が始まる
posted2023/05/30 17:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
AP/AFLO
わずかに残されていた決勝トーナメント進出の可能性は、日本のグループステージ最終戦の翌日、ウルグアイがチュニジアに1-0で勝利したことで、完全に断たれた。
冨樫剛一監督率いるU-20日本代表は、1勝2敗の成績でアルゼンチンから去ることになった。
アジア予選を通過してU-20W杯に初めて出場したのが95年のマレーシア大会。以降、9度の本大会出場でグループステージ敗退を喫したのは、今回が2度目だ。1度目の01年大会の開催地もアルゼンチンだったのは、なんの因果だろうか。
「世界との差を見せ付けられた」イスラエル戦
5月21日、セネガルとの初戦に勝利して好スタートを切った冨樫ジャパンだったが、コロンビア戦、イスラエル戦といずれも先制しながら後半に逆転されてしまった。
イスラエル戦にいたっては68分に相手が退場者を出し、グループステージ突破に向けて大きく前進したにもかかわらず、反撃を許してスコアをひっくり返された。
「世界との差を見せ付けられた試合だったかなと思います」
キャプテンの松木玖生(FC東京)は、そう総括する。
もっとも、ゲーム途中までは間違いなく日本ペースで進んでいた。
今大会初先発となった右サイドハーフの松村晃助(法政大学)と左サイドハーフの安部大晴(V・ファーレン長崎)が相手の嫌がるような立ち位置をとってボールを引き出し、イスラエルを押し込んでいく。
その松村と安部が6分、7分に決定的なシュートを放つと、前半のアディショナルタイムには、このチームの強みであるセットプレーから、これまた今大会初スタメンの坂本一彩(ファジアーノ岡山)が頭でねじ込み、先制に成功した。指揮官が振り返る。
「ポゼッションをして試合を進めながら、クロスとダイアゴナル(ラン)でゴールを奪えればと。プランとしては、前半の終わりに1-0にしたところまでは、選手たちが素晴らしかったと思います」
後半立ち上がりも頼もしかった。ではどこで歯車が?
さらに頼もしく感じられたのは、後半の立ち上がりである。
イスラエルは前半途中から3-2-5のようにして日本の4バックに圧力をかけてきていた。日本の守備陣はどう対処するかと注目していたが、後半に入ってしばらくすると松村をディフェンスラインに下げ、トップ下の松木がボランチに入って5-4-1の守備ブロックを組んで対抗。イスラエルの攻撃を凌ぐと、15分過ぎに再び4-4-2に戻して反撃に出る。
コロンビア戦では後半の立ち上がりに続けざまに失点しており、松木は試合前日、「前後半の15分は特に引き締めたい」と誓っていたが、言葉どおりゲームをコントロールしたわけだ。
そして、68分に数的優位を手にして、いよいよゲームは日本のものになるかと思われた。
それなのに一体、どこで歯車が狂ったのか――。