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20歳の山下舜平大が初勝利 オリックスに次々と好投手が育つのはナゼ? 福良GMが明かした目利きのコツと「由伸の“次の次”」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2023/04/15 11:00
開幕戦の好投に続き、今季2戦目でプロ初勝利をマークしたオリックス山下舜平大
パ・リーグ2連覇中のオリックスといえば山本や宮城だけでなく宇田川優希投手もWBCで代表入り。また山﨑颯一郎投手も追加招集されるなど若手投手が続々と台頭している。
吉田正尚外野手が抜けた野手陣も、フリーエージェントで西武から森友哉捕手を補強したが、宗佑磨内野手を筆頭に紅林弘太郎内野手、太田椋内野手、中川圭太内野手と生え抜きの若手の人材が豊富だ。さらに今季は紅林に代わって関西大から2年目の野口智哉内野手が開幕からショートの定位置を奪い、名古屋商大から独立リーグの徳島を経て育成契約で入団したルーキー・茶野篤政外野手が右翼で打率3割をマークするなど続々と“次の次の世代”も出てきている。そういう多層的なチーム構成が強さの秘密になっている。
福良GMが明かす「育成のオリックス」の秘密
福良GMは2016年から18年まで監督としてチームを率いた後、育成統括ゼネラルマネジャーを経て19年5月に新設されたGMに就任、編成部長も兼ねることになった。
監督時代の3年間は6位、4位、4位とAクラスは1度もない。ただその経験からGMに就任して、まず考えたのがチーム編成の抜本的な改革だったのである。
「遠回りになるかも分かんないけど、スカウトには間に合わせで選手を獲るのはやめようと説明しました」
福良GMは語る。
「それまではチーム成績が悪いこともあって、ここが薄いからと社会人の選手なんかを即戦力でポンと入れてくることが多かったんです。でもそれでずっと失敗していた。それならやっぱり高校生であり、大学生まで、年齢的には22歳までだと。彼らがレギュラーになってきたら働くスパンも長い。だからドラフトで社会人出身の野手は基本的には獲らなくなっています」
「投手王国」はどうやって作られた?
福良GMが就任した19年以降でオリックスがドラフト指名した選手は、育成を含めて全部で45人いる。そのうち社会人出身の選手はわずかに3人で、いずれも中継ぎ候補の投手だった。一方、高卒は投手が10人に野手5人と捕手3人の18人。大卒も投手が8人に野手8人と捕手3人の合計19人。他には独立リーグ出身の投手1人と野手4人の5選手という内訳である。
その中から出てきたのが投手では山下であり宮城、宇田川だ。また野手では紅林や太田に野口、茶野だったのだ。