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「ウワッ!」森友哉が思わず叫んだ…オリックスの“超逸材”山下舜平大20歳のストレートを受けた衝撃「3年前なのに私が思い出す“恐怖感”」
posted2023/04/14 17:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
筆者は“流しのブルペンキャッチャー”としてドラフト直前、高3だった山下のボールを受けた。今年2月のオリックス春季キャンプも取材した筆者が明かす“忘れられないシーン”。
◆◆◆
忘れられない、高3山下舜平大の遠投
今年2月、宮崎でのオリックス・バファローズ春季キャンプ。若手選手たちが練習に打ち込む「第2野球場」はメイン球場に隣り合って、すぐそこにある。
キャッチボールが「遠投」の距離にまで間隔が伸びると、選手たちの「投げるパワーと合理性」の差が歴然とする。投げる能力の高い選手は、低い軌道で楽々距離を出している。
ファールグラウンドのフェンス越し。目の前の「背番号12」の投げるボールがえげつない。
大男ぞろいの中でも、ひときわ雄大な体。何より、軽く腕を振り下ろしているようで、どこまでも、まっすぐに伸びていく白球。
山下舜平大投手……福岡大大濠高からドラフト1位で入団して今季3年目、超の付く逸材である。
山下の「キモ」は、この遠投だ。
高校3年の夏、コロナで大会が中止になって、代わりに甲子園球場で行われたプロ志望者の練習会。紅白戦で投げる前に、外野の芝生で彼が投げた遠投に目をむいた。20m、40m、60m……次第に距離を広げていくのに、腕の振りの力感とまっすぐ伸びていくボールの軌道がぜんぜん変わらない。
横浜高・松坂大輔の遠投も凄かったが、遠投だけなら、こっちの勝ちだと思った。本気で投げたら、150mだって行くんじゃないか……真剣にそう思ったほどだ。
左手中指に残る“衝撃”
春季キャンプでは早々からブルペンに入り、2月の段階ですでに「154キロ」を投げたことは報道で知っていた(自己最速は158キロ)。
別に驚かなかった。彼にとって「150キロ」など、当たり前のことなのだろう。そのことは、ドラフト直前の3年秋に、山下投手の全力投球を福岡大大濠高ブルペンで受けた時に、私自身の体感で身に沁みていたからだ。