プロ野球亭日乗BACK NUMBER
20歳の山下舜平大が初勝利 オリックスに次々と好投手が育つのはナゼ? 福良GMが明かした目利きのコツと「由伸の“次の次”」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2023/04/15 11:00
開幕戦の好投に続き、今季2戦目でプロ初勝利をマークしたオリックス山下舜平大
「スカウトに頼んでいるのは、強い選手を獲って欲しいということです」
オリックスの人材発掘のベースはここにある。
「野手なら強く振るとか、投手なら強いボールを投げられるとか、メンタルが強いとか、そういう選手ですよね。上手い選手はいらない。強い選手を、と頼んでいます。それでスカウトがいい素材、素質ある人間を探してくれる。そこはうちのスカウトはトップクラスですから」
「荒削りでしたけど…」宇田川発掘の舞台裏
典型的な例が20年の育成3位で獲得した宇田川だった。
「荒削りでしたけどね。最後の最後に仙台大学に行って、紅白戦を観たんです。まず馬力があって、身体に力がありました。真っ直ぐとフォークはすぐに使い物になるなというのは感じました」
その上で試合に使って、とにかく実戦で鍛え上げていく。そこがプロ入り後に急速に伸びる選手が多い秘密だという。
宇田川は1年目は育成選手で練習試合での登板がほとんどだったが、2年目の22年は5月6日に二軍戦で初登板すると、7月21日までの約2カ月半の間に、全て中継ぎで15試合に登板。防御率1・88の成績を残して7月28日に支配下登録され、31日には一軍に昇格した。その後の日本代表入り、“宇田川会”結成のシンデレラストーリーはよく知られる通りである。
知られざる「育成メソッド」
「月1回育成会議をやって、選手に順番を4から5くらいまでつけていくんです。そういう選手を優先的に試合に突っ込んでいく。1年目、2年目は高卒であろうと何だろうと野手なら300打席以上は絶対に立たせるとか、ピッチャーであればローテーションに入れるとか。とりあえずゲームに出します」
山下の場合は1年目の21年から二軍で先発ローテーションに組み込んで18試合に登板、65回3分の2を投げさせた。防御率は5・48と結果は出なかったが、これと思った選手はとにかく試合で使って経験を積ませる。試合の中で鍛えることが一番成長につながるという考えだ。
「高校では週に1回とかしか試合はないのが、プロでは毎日ある。当然、それを乗り切る体力も必要になってくる。成績とかは別にいいんです。そんな簡単に結果が出るわけはないですから」