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「WBC栗山監督に選手へのリスペクトを感じます。ただ…」W杯後の“森保語録”に6つの変化?「切り返しの妙」を感じた瞬間とは
posted2023/04/05 17:02
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
「カタールW杯を経て、森保監督は変わったのかな?」
最近、取材していて、そんな風に感じさせられることが多々ある。そう感じるのは筆者だけではなく、監督の記者会見後、会見場でこんな言葉が飛び交ったこともあった。
「監督はW杯のあとに、スピーチのレッスンを受けたんじゃないかな?」
カタールW杯までの第一次政権時では、森保監督の言葉がわかりづらかった。そこにはいくつかの理由があるはずだ。
たとえば、本音を隠すため。彼は常々こんなことを語っていた。
「(監督が何かを発言したとしても)それが本当のことかどうかはわかりません」
どんな記者から、どのような質問を受けても、きちんと言葉を尽くすのが森保流だ。その代わり、チームを守るために本音を隠す姿勢は決して崩そうとしなかった。その一方で、自身の想いや考えをプレゼンテーションする方法に無頓着だからこそ、話がわかりづらいと感じさせる部分は多かった。
森保監督のコメントが変わった6つのポイントとは
ただ、それが変わってきた。本稿では、大きく変わった6つのポイントを見ていこう。
〈ポイント1:謝辞(と前提の話を)を公の場で口にするのをやめた〉
以前は、必ずといっていいほど謝辞を口にしていた。例えば、カタールW杯開幕のおよそ半年前。昨年5月20日、キリンカップのメンバー発表記者会見で最初に発言をうながされたときのことだ。
「みなさん、こんにちは。本日も日本代表のメンバー発表記者会見に参加してくださってありがとうございます。まずはサポーター……」
謝辞を述べた後、司会が何の記者会見であるかを冒頭で明かしていたにもかかわらず、改めてメンバー発表の会見だと説明した上で、本題に入った(1分超かけていたこともある)。
そもそも、前提の話は必要ないし、ファンやサポーターへの謝辞も、日ごろの森保監督の行動から、彼らは理解しているはずなので、あえて繰り返す必要もなかった。さらに、しばしばスポンサーへの配慮を口にする森保監督だが、彼の配慮は、日本代表をサポートする企業の人たちにも伝わっているはず。
森保監督の“誠実さ”があふれた、あるエピソード
スポンサーとの関係で個人的にも驚いたのは、森保監督の幻の初陣(北海道胆振東部地震の影響で中止)が行なわれる予定だった、2018年9月のこと。札幌での試合が中止になったあと、大阪へと向かう機内のことだ。あのときは、地震の影響で多くの飛行機が欠航になっていた。日本代表の乗るはずだった飛行機はどうにか飛ぶことになったのだが、当初とは違う機体が使われて席の配置もかわり、筆者のように他の便からその便へ振替される乗客もいて機内は混雑していた。