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「WBC栗山監督に選手へのリスペクトを感じます。ただ…」W杯後の“森保語録”に6つの変化?「切り返しの妙」を感じた瞬間とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/04/05 17:02
日本代表3月シリーズは1分1敗のリスタートとなったが、森保一監督のコメントには注視してみたいものがある
先のW杯まで吉田麻也が務めてきたチームのキャプテンを“まだ”決まっていない。しかし、試合ごとにキャプテンマークを巻き、チームを代表して審判と話をするゲームキャプテンは指名しないといけない。そこで「明日のゲームキャプテンは誰が務めるのか?」と問われると、ぴしゃりと答えた。
「遠藤航でいきたいと思っています」
以前であれば、その理由や前提となる話をしていたはずだが、変化の跡はここにも見られた。なお、YouTubeにあがっている森保監督の“過去の”記者会見の動画に視聴者のこんなコメントがついている。
「質問に対して長ったらしく答えることで、質問自体がなんだったのか分からなくさせる話術スゴすぎる!」
今後はこの種のアンチコメントの入る余地はなくなるかもしれない。
吉田麻也の招集外について問われると…
〈ポイント4:切り返しの妙が出てきた〉
3月15日、今回の2試合にむけたメンバー発表の席でのこと。監督は「ベストなメンバーを選んだ」と語っていた。ただ、そうなると吉田が呼ばれないことと矛盾しかねない。
というのも、吉田所属のシャルケが今年に入ってから強固な守備を武器に一気に調子を上げているからだ。ディフェンスリーダーの吉田は、ブンデスリーガの全選手のなかで、インターセプトの総数でも、90分あたりのインターセプト数でも、トップを記録するほどのパフォーマンスを見せている。
ただ、吉田は次回のW杯開幕時には37歳になる。そこで筆者は『べスト』の定義をたずねるために「監督のなかでの『べスト』というのは、選手の伸びしろを含めたものなのですか?」と聞くと、こんな答えが返ってきた。
「『今回の活動でベスト』ということです」
これには記者の間からも、「『今回の活動でベスト』とは、上手いこと言うなぁ」いう感想がもれた。以前はそんな感想が出ることはなかった。
WBCを受けて語った“監督論”が興味深かった
〈ポイント5:うわべだけの言葉で終わらせない〉
森保監督は会見などでしばしば笑みを浮かべるため、それを「愛想笑いだ」と批判してきた人がいたのは事実。ただ、今回の日本代表合宿中に「WBCで栗山英樹監督が村上宗隆を信じ続けたことで、あの準決勝でのサヨナラタイムリーが生まれたのではないか?」という記者への質問が飛んだときだった。栗山監督とはテレビ局のインタビューなどで面識がある一方で、以前なら「そうですね」とニコニコして話を合わせても良さそうな場面だったが……。
「栗山監督は、選手一人ひとりをリスペクトして尊重しているなというのはすごく感じます」
そう答えた後、「ただ……」と断りをいれてからこう続けた。
「今回、登録選手の中でも使っていない選手はいたんですよね? 信じているという『美談』……。その一部だけをみなさんは見られますけど、使っていない選手もいる中で、そういう選手のこともすごくケアされているんだなといういうのも感じます」
適当に相槌を打つのではなく、栗山監督と伴走して戦っているかのような熱い思いを出していくのも、また、あのW杯を経験したからなのかもしれない。
戦術的なテーマを明確に掲げていた
〈ポイント6:明確に答える〉
カタールW杯後の目標を森保監督は優勝に掲げるようになった。もちろん、「ベスト16の壁を突破できていないこと」を前提にしながら、3月15日の記者会見で、監督はこう語った。