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三笘薫25歳に聞いた「ドリブル突破の回数が減った?」プレミア勢が本気で“ミトマ対策”…それでも6ゴール目、三笘が明かす「デゼルビ監督の練習」
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2023/03/07 18:30
ウエストハム戦、チームの3ゴール目を決めて笑顔の三笘薫(25歳)。試合後の本人に話を聞いた
「決めてはないですけど、チームが前半からボールを握っていたので、相手が疲弊するのは分かっていた。先にポゼッションを優先して、試合を支配し、後半の相手が疲れた時に自分のドリブルを少しずつ出せればいいと思っていました。ドリブルを別に出さなくても、試合の中で変化はつけられる。どういうプレーが効果的なのかを試合の中で考えながらやっているので。ドリブルに固執しているわけでは全然ないですね。
サイドに開いて時間を作るところだったり、ポゼッションするところだったり、仕掛けるところもそうですけど、こうしたプレーの比率は相手によっても変わってくるので。今日はボールを回しながら、そっちの方を優先すべきと思っていました。それはピッチの中にいればわかることなので」
“ミトマ対策”と“デゼルビの練習”
ブライトンでのシーズン序盤や、W杯終了後のブレイク中は、とにかく三笘のドリブル突破が光った。確かなスキルと爆発的なスピードでマーカーを翻弄し、左サイドを突破してチャンスを生み出した。
ところが相手チームの三笘対策が進み、ドリブルが生きる「縦のコース」が事前に潰されるようになった。国内リーグの直近2試合でゴールやアシストの結果を残せなかったのは、こうした相手の三笘対策と決して無関係ではない。
しかし今回のウエストハム戦で、三笘は異なるアプローチで勝利に貢献した。そのひとつが、左サイドから中央にポジションを移すプレーだ。
左サイドを主戦場としながらも、三笘は頻繁にポジションを中寄りに移した。三笘が中に入っていけば、空いた大外の左サイドにはSBのペルビス・エストゥピニャンが駆け上がり、攻撃に厚みをもたらす。中央部に入った三笘は前方にパスを出したり、そのまま最前線まで突っ走ったりと、シーズン序盤のグレアム・ポッター前政権時代にはないプレーを見せた。
こうした動きは、ロベルト・デゼルビ監督の元で普段の練習から取り組んでいることだという。ビルドアップの形を繰り返し練習し、選手たちが半ば自動的にポジションを移す。三笘は「チームの決まり事っていうか、そういうところがあります。僕が中央に入るという決まり事もあります。(外も中央も)どっちもやらないといけないと言われているので、そういうところは出していきたいなと思っています」と説明した。
「狭いスペースでの“認知”も必要です」
ある時は外で、またある時は中へ――。デゼルビ監督が求めるこうした役割を、三笘はここにきてスムーズにこなすようになってきたわけだ。
そして三笘個人としても、プレーの幅が着実に広がってきた。相手の執拗なマークで縦へのドリブル突破ができなくても、中寄りにポジションを移し、周囲と連係しながら崩す。今回のウエストハム戦で、三笘は急速に進化を遂げている印象を残した。