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北京五輪“スーツ規定違反”騒動から1年…測定方法変更も違反は“倍増”、高梨沙羅は1月に“再違反”で取材に応えられず「やせちゃっていたのかな」
posted2023/02/10 11:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
約1年前、北京五輪で注目を集めたのが、ノルディックスキー・ジャンプのスーツの問題だった。混合団体で規定違反とされて失格となった選手が続出し、試合の結果に大きな影響を及ぼした。
その中には日本の高梨沙羅もいた。団体戦の1本目を飛んだあとに失格を告げられ、涙にくれる光景、それでも必死に2本目に挑んだ場面を覚えている人も少なくはないだろう。
あれから1年あまりが経ち、新たなシーズンが進んでいる。だが、開幕前に解決へ向けた取り組みもあったにもかかわらず、問題は解消されていない。いや、むしろ深刻になっているきらいもある。
高梨の“再違反”はウエストが2cm大きかった
女子に先駆けてワールドカップ開幕を迎えた男子は象徴的だった。第2戦目で小林陵侑がスーツの規定違反で失格となり、開催地ポーランドの英雄ストッフも違反。有力選手たちによる違反が相次いだのだ。
その後も、スーツの規定違反は例年に比べ倍にのぼると指摘が出るほど相次いだ。1月7・8日に札幌で行われた女子のワールドカップでは2日間で計5名がスーツ違反となった。その中には昨シーズンの総合チャンピオンであるマリタ・クラマー、小林諭果らが含まれる。
そして翌週、蔵王で行われたワールドカップ第13戦では高梨沙羅が失格となった。横川朝治ヘッドコーチが取材に対応し、ウエストが2cm大きかったこと、大会を通じて同じスーツを使用していたことを説明した上で、「その前はOKだったということはやせちゃっているのかな」と語っている。高梨本人は取材に応じられなかったことにショックの大きさがうかがえる。