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北京五輪開会式での“バック転行進”も話題に…モーグル銅メダリスト・堀島行真(25歳)の“人間力”がスゴい!《W杯総合初優勝へ》
posted2023/01/08 06:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
JIJI PRESS
昨年2月の北京五輪でスキー・フリースタイル男子モーグルの銅メダルに輝いた堀島行真(トヨタ自動車)が、3年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪での金メダル獲得に向かって新たなスタートを切っている。
12月3日にフィンランドで開催された今季W杯初戦で2位と好発進。昨季から続く連続表彰台の回数を13に伸ばした。スウェーデンでの第2戦では細かなミスがあって4位にとどまったが、今季の目標として掲げるW杯総合初優勝はまだまだ射程内だ。
ユニークな取り組みによって毎年進化を遂げてきた。五輪初出場ながら優勝候補の一角として期待を受けた'18年平昌大会では、まさかの転倒で11位。北京大会までの4年間は、シーズンオフの間に様々な競技に挑戦し、多角的に感覚を磨いてきた。
トライした競技は体操、フィギュアスケート、トランポリン、飛込、パルクールなど。それぞれの競技で微妙に異なる体重移動の感覚や空中感覚を養うことで、モーグルのターン技術やエアを向上させていった。
北京五輪開会式ではバック転で行進
昨夏はウォーキングや棒高跳びに挑戦。約5mの長さの棒を使いながら空中に体を投げ出す棒高跳びの効果を聞かれた際には「空中の高さはモーグル以上だし、道具のしなりを利用するという観点では板のしなりを上手に使わないときれいに滑れないモーグルと共通している」と説明。常に新たな領域に踏み込む努力を怠らないのが堀島の強さの源だ。
北京五輪では開会式でバック転をしながら行進した度胸の良さが評判になったが、ある意味、それ以上の驚きだったのは、開会式の翌日に予選2回目、決勝1~3回目が行なわれるタイトなスケジュールが控えていたにも関わらず、参加を見送らなかったこと。その理由を堀島は「五輪が初めての選手もいる中で、僕が開会式の出席をやめるとネガティブな気持ちになってしまう人もいるかもしれない。五輪期間中はできるだけチームで一緒に行動することも心がけた」と説明する。
リーダーシップを発揮することで人としての幅も広げている25歳。自身3度目となる3年後の大舞台で、五輪で金1、銀2のミカエル・キングズベリー(カナダ)らを抑えて金メダルを獲得するため、まずはW杯総合優勝を勝ち取るつもりだ。