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藤井聡太「王将戦の各局、非常に難しかった」、羽生善治「将棋は奥深いもの」と語るが…“2人の高み”を同世代・若手棋士はどう感じたか 

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photograph by日本将棋連盟

posted2023/02/09 17:14

藤井聡太「王将戦の各局、非常に難しかった」、羽生善治「将棋は奥深いもの」と語るが…“2人の高み”を同世代・若手棋士はどう感じたか<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

王将戦第4局、対局開始時の藤井聡太王将と羽生善治九段

後について行く私たちは羽生さんをお手本として

<名言2>
羽生さんが一歩前に出てくれて、後について行く私たちは彼をお手本として、それを学んで強くなっていくという形でした。
(森内俊之/Number1018号 2021年1月7日発売)

◇解説◇
 タイトル通算99期という途方もない大記録を持つ羽生に対して、「羽生世代」最大のライバルとして名勝負を繰り広げたのは森内だ。

 初の七大タイトルこそ羽生の19歳での竜王獲得に対して、森内は31歳の名人獲得だったが、18歳にして全日本プロトーナメント(現・朝日杯将棋オープン)優勝を果たすなど、彼もまた新世代の象徴として若き日から実力を見せていた。さらに2000年代には羽生と名人戦などで名勝負を繰り広げ、2007年には名人位通算5期獲得で十八世名人の資格を保持してもいる。

「中学生のうちに棋士になることを入会したときに目標として定めていました。16歳四段でも一般的には早い方なんですが、羽生さんから1年半ぐらい遅れ、1歳年長の佐藤康光さんにも遅れを取ってしまっていたので、うれしいという感じではなかったですね」

 森内は奨励会時代について、このように語っていたことがある。それでも長年にわたってトップ棋士として戦い続け、現在でも「毎日いろんな学びがあります。次にこれを直して行けばいいってことがわかるので、楽しいんです」と、盤面に向かう姿は今もなお若々しさを感じさせる。

 ちなみに羽生は――森内が立会人を務める王将戦第4局の前夜祭で――こんな風に語っていた。

「王将戦というのは一局を2日間、持ち時間8時間で対局しているわけですが、何事もスピードの時代の中で、1つの勝負に2日間かけて行うというのはかなり珍しいことなのではないかなと思っています。それと同時に将棋というのは――それだけ長い時間費やしても、なかなか分かることができない奥深いものなのだなと思っています」

 名人戦、王将戦など2日制の対局では、凡人では計り知れないほどの頭脳を駆使して、盤面の未来を読んでいる。森内ら歴戦の名棋士と戦った時間が、羽生の大局観にとって大きな土台となっているのだろう。

違うだろ。藤井君を意識しないと

<名言3>
藤井さんが登場して、自分の立ち位置を考えさせられました。
(八代弥/Number1044号 2022年1月20日発売)

◇解説◇
 藤井聡太という才能に対して、彼より年齢的には少し上の20代の棋士それぞれが感じ入ることがあるようだ。2022年初頭に発売されたNumberの鼎談で高見泰地七段、三枚堂達也七段、八代七段が集い「藤井聡太の“最強の一手”」について語り合った。

【次ページ】 17歳最年少棋士が語った“王者・藤井聡太の印象”

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