モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
最高速度275km! 5年目に大幅進化する電動バイクレース最高峰「MotoE」の現在地《日本からは大久保光が参戦》
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph byDucati
posted2023/01/26 11:00
プロトタイプでテストを重ねるドゥカティV21L。エンジンを搭載するマシンとの外観上の大きな違いはマフラーがないことくらい
「ゼロミッション」を謳い文句として環境に優しいカテゴリーを目標に始まったMotoEは、大久保の活躍もあって日本でも徐々に浸透しつつある。使用するタイヤも再生レーシングタイヤで、供給元のミシュランは、レモンやオレンジの皮などのバイオソース素材、摩耗したトラックのタイヤなどリサイクル素材を使用している。グリップはまだまだ十分ではないが、これから進むべき道を模索している段階でもあり、こうした取り組みにも注目が集まっている。
変化を迫られるモーターサイクルレース
世界はいま「脱炭素」に向けて大きく舵を切っており、いずれはモーターサイクルレースも電動化を避けられないのかも知れない。MotoGPクラスでは2024年から再生可能エネルギーのひとつであるバイオ燃料の投入が決まり、24年からは40%以上、27年からは100%を非化石燃料とすることが義務づけられた。MotoGPでホンダチームに燃料を供給するレプソルは、昨年のシーズン最終戦バレンシアGP後に、24年から採用されるバイオ燃料でのテストを開始。テストを担当したマルク・マルケスは、「フィーリングは良かった。バイオ燃料による違いも感じなかった」とコメントした。
モーターサイクルレースは、これまでも地球環境と無縁ではいられなかった。燃料に関しては1998年に無鉛化され、エンジンは2002年から順次2ストロークから4ストロークに切り替わった。そして現在は「脱炭素」を目指し電動バイク、バイオ燃料とさまざまなことに取り組んでいる。20年前にいまの状況を想像することはできなかったし、10年後、20年後のモーターサイクルレースがどうなっているのか想像するのは難しい。様々な意味でレース界は大きな過渡期を迎えている。変化は意外と早いかもしれないだけに、MotoE、バイオ燃料の進化に注目していきたい。
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