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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「勇人、何球マン振りできるかだぞ!」巨人再建を担う坂本&岡本和真の再生計画 ドラ1・浅野翔吾の可能性は?〈大久保博元コーチに直撃〉
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/01/31 11:02
巨人の覇権奪回に坂本勇人の完全復活は絶対に欠かせない条件だ
「日本一」のその先を目指して
――最後に約30年ぶりの巨人のユニフォームです。改めてそのユニフォームへの想いを教えてください。
大久保 プレッシャー以外の何物でもないですね。このプレッシャーはそう簡単には、はねのけられないです。それは現役時代に他のチームから来たので、余計に分かっています。やっぱりライオンズ時代は、日本シリーズに巨人出てこい、巨人出てこいって待ち受けて、巨人を叩いて初めて我々が名を残せるというのがあった。僕は巨人でもそこを目指したいですね。
――ただ勝つだけではなく、勝ってその上を目指す?
大久保 日本一なんて通過点。もちろん100mダッシュの100mでゴールだけど、150mまで行こうぜ、そうすればもっと成長できるぜって。そこを目指したい。巨人軍はあまりに日本一、日本一って言い過ぎなんじゃないかなとも思います。その先だよ、俺が行きたいのは、って思って欲しいというのはあります。
――そこから本当の強さは生まれてくる。
大久保 ただオレは外様だから、そういうことを言えるというのもある。現役で4年しかプレーしていないし、レギュラーなんて1年しか取れていない。ジャイアンツは常にスタンドに満員のファンが溢れて、ノンプレッシャーの試合なんて1試合もない。それがジャイアンツですから。そういう環境に選手たちは慣れている。慣れていると何が起こるかというと、慣れすぎて、なかなかアドレナリンが出なくなっているんです。「オリャー! いくぞ!」みたいなね。普通はアドレナリンが出過ぎるのを抑えるんだけど、ここの選手たちはアドレナリンを出すのが大変みたいになっている。
――それが負けて悔しがってほしいという最初の話につながるわけですね。
大久保 ウチの娘が子供の頃から熱烈なライオンズファンで、ある日、テレビを見ていて凄い勢いで怒っていたんですよ。『どうしたの?』って聞いたら『私たちが死ぬ気になって応援しているのに、選手が負けて笑っている! もう応援しない!』ってね。ああ、これがファン心理だし、ここだよって。負けて悔しいってならなきゃおかしいって。そういうチームにしたいですね。原監督が、リーダーがそういう熱さを求めているんだから。我々が鼓舞してぜひ、そういうチームにしたいですね」
〈#1からつづく〉