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「勇人、何球マン振りできるかだぞ!」巨人再建を担う坂本&岡本和真の再生計画 ドラ1・浅野翔吾の可能性は?〈大久保博元コーチに直撃〉 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/01/31 11:02

「勇人、何球マン振りできるかだぞ!」巨人再建を担う坂本&岡本和真の再生計画 ドラ1・浅野翔吾の可能性は?〈大久保博元コーチに直撃〉<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

巨人の覇権奪回に坂本勇人の完全復活は絶対に欠かせない条件だ

――昨シーズンは坂本選手が戦線離脱を繰り返し、レギュラーになってからはキャリア最低の成績に終わり、岡本和真内野手も好不調の波が激しかった。若手を育てるのには主力の頑張りが必要ですが、その主軸の選手たちを再生するための方策は?

大久保 僕の中でそこは、単純に練習不足だと思っているところなんです。この春のキャンプでも監督は「全員でアーリーワーク行くぞ」と言っている。練習では選手をいくつかのグループに分けて、それぞれのグループにリーダーシップをとる主力の人たちが入るようにしています。彼らが自分の若い衆を持つことによって、若い選手のために頑張るという集団心理を練習に使わせてもらう。そのためにベテランの人たちともオフの間に連絡をとって、了承も得ている。丸(佳浩外野手)なんかは、広島のあの恐ろしい練習を27、28(歳)までやったぐらいですからね。そこを他の選手たちがね、練習を通して経験できることになるし、丸自身ももう1度、あそこまでハードではないにしろ、そういうものを思い起こして若手と汗が流せるわけですから。

「まだまだやりたいんです」って勇人が

――ベテラン、中堅が練習の先頭に立つことで、彼らもまた練習量が自然と増えるという算段ですね。

大久保 僕はプロゴルファーとしても試合に出ていましたが、プロゴルファーもツアーに出てシード選手になってくると、飛ぶよりも曲げたくないってなりだす。そうすると何が起きるかというと、一気に飛ばなくなるんですよ。飛ばなくなると、その飛距離を取り戻すのは、大変な作業なんですね。もし(坂本)勇人が、ヒットでいいやって思ってホームランを捨てているとしたら、以前のヘッドスピードを取り戻すのは大変なんです。

――確かに昨年の坂本選手は本塁打がわずかに5本と激減している。

大久保 だから勇人は昨年の秋から本気になって、飛距離を取り戻すことにチャンレンジしているんです。彼には「勇人、何球マン振りできるかだぞ。ただ練習で何球かマン振りするだけじゃなかなかだけど、やりようによっては戻らないこともない。お前がどれだけ練習でフルスイングして、ゲームでフルスイングできるかだ。そうやって継続していけば突然、ポンっと距離が戻るはずだよ」って話をしました。

――坂本選手はそれで取り組み出した。

大久保 まだまだやりたいんです、って勇人は言う。だったらオレはマン振りしろとしかアドバイスできないよ、って言いました。フォームとかそういう問題ではないんです。2000本(安打を)打っている選手ですよ。何をオレが教えるの? そうじゃなくて振るしかないよ、と。その振るためのお手伝いは、いくらでもできるよと彼には伝えてあります。

――岡本選手については?

大久保 あいつは足の向きだけ上手にしてやればいいんですよ。

――足の向き?

大久保 右方向に大きな打球が飛ぶというのは、基本的には右を向いているんです。それで右足のつま先があんまり開きすぎると、軸足の力が解放されて、踏み込む足に制限がかかってしまう。それをどう自分で調整していくかだけです。

――構えの問題だ、と……。

大久保 いいピッチャーってプレートを上手に、自分で使い分けるじゃないですか。キャッチャー目線からすると、バッターもボックスを上手に使える人がいいバッターなんです。ちょっと離れたぞとか、ちょっとあっちいったぞとか動くことができる。ピッチャーによって右足にどう制限をかけるかなんです。基本的に右を向いて、つま先を開くから、岡本の打球は右方向に飛ぶ。でもそれではインサイドは刺されてしまう。せっかく内角を打つのが天才的に上手いのにね。あんまり度が過ぎないように。ニュートラルなところを探していこうと、本人とは秋季練習で話しました。

【次ページ】 「球界でも何本かの指に入る」小林の配球

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