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藤井聡太14~20歳の将棋を“歴代名人”はどう絶賛したか「藤井さんは特別な才能を」「羽生さんも藤井さんも18歳ですでに…」
posted2023/01/22 17:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Hideki Sugiyama
<名言1>
長く対局してきましたけど、藤井さんは特別な才能を持った方だと感じています。
(豊島将之/Number1044号 2022年1月20日発売)
◇解説◇
1月18日に行われた順位戦A級、藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖と五冠)と豊島将之九段の対局は藤井が豊島を139手で投了に追い込み、6勝1敗として単独首位をキープした。
最年少での「名人」獲得に向けて大きな1勝を挙げた藤井。羽生善治九段の挑戦を受ける王将戦と並行して戦う中で相変わらずの強さを見せている。一方で豊島はここ数年、2度の王位戦と竜王戦、叡王戦で藤井の強さに向き合ってきた。
令和初となる「竜王名人」の称号を得た豊島がトップ中のトップ棋士であることは確かだが、そんな豊島は2021年度に挑んだ藤井との「十九番勝負」を前に、冒頭の言葉を発した。その時点で豊島から見て藤井との対局成績は6勝1敗。世間では「藤井キラー」という見立てがされていたが、実際に盤を挟んだ感覚として、藤井将棋が日に日に充実していく印象を受けていたようだ。
計4回タイトル戦で対戦したのは2022年末現在で豊島だけである。自らよりも若く、さらに強大になっている壁に対して、苦悩することもあるだろう。しかし豊島は、今後に向けてこのようにも話している。
「新しくファンになっていただいた方、昔からずっと応援して下さる方もいる。励みになっています。でも、焦りすぎるとよくないので、長い目で見ていただけたら」
「すごいな」と思う対局に入る比率が高い
<名言2>
いろんな人の将棋を見ていると、月に何局かすごいなって思う将棋があって、そこに藤井聡太さんの将棋が入ってくる比率がすごく高いです。
(森内俊之/Number1018号 2021年1月7日発売)
◇解説◇
将棋界でいわゆる「羽生世代」と呼ばれる棋士の中でもトップランナーは羽生だ。その羽生に追いつき追い越せで名ライバルとなったのが森内俊之九段である。
「16歳四段でも一般的には早い方なんですが、羽生さんから1年半ぐらい遅れ、1歳年長の佐藤康光さんにも遅れを取ってしまっていたので、うれしいという感じではなかったですね」
タイトル戦初登場となった96年の名人戦では、七冠独占を果たした羽生に1勝4敗で跳ね返されるなど、栄光へあと一歩届かない日々が続いた。しかし31歳での名人位と初タイトル獲得以降、2000年代の最強棋士として君臨。名人戦でも07年に通算5期獲得を達成し、羽生よりも先に「永世名人」の資格を獲得したことでも知られる。
歴代8位となるタイトル通算12期を持つ森内。そんな彼も、タイトルを一気に獲得していった頃の藤井将棋に感嘆の声を挙げていた。さらにこうも話している。