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“甲府20年目で初タイトル”山本英臣に聞く天皇杯決勝のPK戦秘話「ハンドはするしコイントスは負けるし、逆に笑えてきたんです」
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![澤田将太](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
澤田将太Shota Sawada
photograph by2022VFK
posted2022/12/27 11:07
![“甲府20年目で初タイトル”山本英臣に聞く天皇杯決勝のPK戦秘話「ハンドはするしコイントスは負けるし、逆に笑えてきたんです」<Number Web> photograph by 2022VFK](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/d/700/img_7d6f9712ca49fe34674d65853c972992395130.jpg)
天皇杯決勝のPK戦に臨むヴァンフォーレ甲府の山本英臣。「決めれば優勝」という状況のなか、どんな心境で5人目のキッカーを務めたのだろうか
ルヴァンカップ決勝は「心から広島を応援しました」
J2で下位に沈むヴァンフォーレ甲府が、名だたるJ1クラブを撃破して頂点に立つ。しかも最後に勝負を決めたのは、延長戦でPKを与えて一時は絶望にまみれたクラブ在籍20年目のレジェンドだ。映画のようなストーリーに、ACL出場権の関係上、広島を応援していたはずの鹿島アントラーズやセレッソ大阪、柏レイソルのサポーターも拍手を送った。SNSではマスコットのフォーレちゃんが泣き崩れるシーンも拡散された。
「あんなに盛り上がるとは思わなかったですね。山梨県での視聴率は相当高かったと聞きました。僕宛にもLINEが300件以上、ショートメールも200件くらい届いて、正直もう開くのが怖かったです(笑)。いろいろと悩みはあったけど、ずっとサッカーをやってきてよかった。続けていれば、こんなにいいことがあるんだなって……。本当に報われました。繰り返しになりますが、優勝は僕の力ではなくて、みんなに連れてきてもらったおかげです。チームメイト、スタッフ、サポーター、家族には、どれだけ感謝しても足りないですね」
ドラマには続きがある。甲府に敗れた広島は、その1週間後にセレッソ大阪とルヴァンカップ決勝戦を戦い、後半アディショナルタイムの2得点で劇的な逆転優勝を果たした。死闘を繰り広げた相手に、山本は特別な感情を抱いていた。
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「甲府でチームメイトだった佐々木翔には、天皇杯の後に『勝てると思いすぎだよ』って言っときました(笑)。でも、ルヴァンの決勝は心から広島を応援していた。佐々木のミスが絡んで失点したときは、ハンドをした自分と重なって辛かった。あれだけチームに貢献している選手なのに、悔しいじゃないですか。だからアディショナルタイムで逆転したときは本当に嬉しくて、セレッソさんには申し訳ないけど『物語が完結したな』と思いました」