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[老将の覚悟]ポルトガル「ロナウド依存からの脱却」
posted2022/12/23 07:00
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Kenichi Arai
ひとつの時代が変わる瞬間は突然やってくるもの――。決勝トーナメントに入るや英雄をベンチに置いた指揮官の決断が、さまざまな論争を呼んでいる。この采配が未来に残すものとは。
ポルトガルの敗退直後、スポーツ紙アボラが緊急アンケートを行った。要は戦犯探しで、設定された敗因の選択肢は5つだ。
・モロッコが上だった
・フェルナンド・サントス監督
・審判
・クリスティアーノ・ロナウド騒動
・選手たちのパフォーマンス不足
結果は想像通り、フェルナンド・サントスが過半数の51%の票を得て「戦犯」となっている。以下、選手のパフォーマンス(22%)、モロッコ(9%)、ロナウド騒動(9%)、審判(6%)と続く。
ポルトガルでは監督への大批判が起きている。敗戦よりも、ロナウドを先発から外したことに対して責任を問う声が目立つ。ポルトガルの敗因はロナウド外し、つまり監督の采配ミスにあったのだろうか。
出だしは順調だった。今大会のポルトガルはロナウドのゴールとともに始まった。
4-3-3のCFで先発したロナウドは第1戦のガーナ戦、エリア内で倒され自らPKを獲得。左上に豪快に決める、彼らしいPKで先制した。ワールドカップ通算8点目。ロナウドが狙っていた、母国の英雄エウゼビオが持つポルトガル代表のW杯記録の9点まであと1点と迫るものだった。エウゼビオ超えは時間の問題――。国民の誰もがそう思った。
続くウルグアイ戦でもロナウドはブルーノ・フェルナンデスのクロスに飛び込みネットを揺らした。ボールに触れておらずロナウドの得点にはならなかったが、彼の動きがなければ決まっていなかっただろう。