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森保監督の“あるジョーク”で会見場は和やかに…スペイン戦の裏で起きていた“情報戦”の真相「現地記者が見た、歴史的番狂わせの舞台裏」 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2022/12/04 06:00

森保監督の“あるジョーク”で会見場は和やかに…スペイン戦の裏で起きていた“情報戦”の真相「現地記者が見た、歴史的番狂わせの舞台裏」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

グループステージ第3戦のスペイン戦勝利の裏には、森保監督の“ある仕掛け”があった

 森保ジャパンは選手とスタッフが同席して戦術ミーティングを行なう。そこでは若手からベテランまで年齢を問わず活発な意見が飛び交う。そのうえで、森保監督が選手起用と戦い方を決定し、選手に指示を出す。世界的に見ても希有なアプローチ法でW杯を戦っている訳だが、この距離感が会見の雰囲気にも出ているのだろう。

 一方、スペインは監督と選手が同席するスタイルではなく、30分の時間を区切って先にルイス・エンリケ監督の質疑応答があり、監督の退席後に選手の質疑応答が行なわれた。ルイス・エンリケ監督は身振り手振りを交えながらしゃべり口調にも勢いがあり、「静」の森保、「動」のルイス・エンリケという様相にも見えた。

大一番で仕掛けた“情報戦の真相”

 しかし、それは見た目上のことに過ぎなかった。会見で情報戦を仕掛けたのは森保監督だった。森保監督はスペイン語メディアから「ケガ人」に関する質問を受け、意外なほど詳しく説明した。ルイス・エンリケ監督が「この後の練習を見て判断する」という言い方にとどめたのに対し、けが人の状態については、「昨日の練習では外れた選手もいたが、全員練習はできる状態。酒井(宏樹)がどうなるか……。それ以外は全員できると思っているが……」と、別メニュー調整が続いていた遠藤航と冨安健洋の復帰を明かした。ただ、語尾が曖昧だったため解釈が難しく、日本メディアでも捉え方にばらつきが出るほどだった。

 日本代表の前日練習は、公式会見が終わった後、日が落ちてすっかり真っ暗になった18時から行なわれた。練習はいつものようにジョギングで開始。ところが、ジョギングの隊列を見ると、酒井と遠藤の姿はこの日もピッチになかった。森保監督は決勝トーナメント進出をかけた大一番で情報戦を仕掛けていたのだ。

 さらに、冒頭15分間の公開時間が終わって報道控え室に戻ると、今度は室内に大音量のポップミュージックが流れていた。日本代表の練習ピッチは2面あるが、1つは仮設の報道控え室のすぐ隣にあり、室内が静かだとピッチの声が聞こえてくることがある。音楽がかかるようになったのは、スペインメディアの人数が増えた試合2日前から。これには戦術練習の内容をもらすまいと細心の注意を払っている様子がうかがえた。

【次ページ】 森保監督は、あえて直接コミュニケーションをとらなかった

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