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森保監督の“あるジョーク”で会見場は和やかに…スペイン戦の裏で起きていた“情報戦”の真相「現地記者が見た、歴史的番狂わせの舞台裏」

posted2022/12/04 06:00

 
森保監督の“あるジョーク”で会見場は和やかに…スペイン戦の裏で起きていた“情報戦”の真相「現地記者が見た、歴史的番狂わせの舞台裏」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

グループステージ第3戦のスペイン戦勝利の裏には、森保監督の“ある仕掛け”があった

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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Takuya Sugiyama/JMPA

 4チームすべてが決勝トーナメント進出の可能性を持ってキックオフされたカタールW杯グループリーグE組最終第3節。勝てば無条件で2大会連続のベスト16入りを果たせる日本は、グループ内最強のスペインと対戦し、初戦のドイツ戦の再現とも言える2-1の逆転勝利を収めた。必然か、偶然か、奇跡か、実力か。そんなことは関係ない。日本は確かにベスト16へ進んだ。その背後には、今までの日本ではあまり見られなかった情報戦があった。

◆◆◆

 スペイン戦の前日会見に向かうと、入り口には開始前から長蛇の列ができていた。ペン記者とフォトグラファーは合わせて200人ほど。1戦目、2戦目と比べても多い人数だった。日本は森保一監督とGK権田修一が出席。会見はいつも通り、監督と選手から一言ずつ抱負を述べるスタイルで始まった。

 心なしか、森保監督の表情がドイツ戦やコスタリカ戦前と比べてリラックスしているように見える。権田は持ち前のよどみない語り口調でひとつひとつの質問に対して明快な回答を返していく。

 2人とも、大一番を前に少なくとも気持ちの部分ではクリアな精神状態にあるように思われた。スペイン戦のちょうど1カ月前、11月1日のW杯メンバー発表の際、今の心境を尋ねられた森保監督が挙げた、「行雲流水」という四文字熟語をあらためて想起させる雰囲気だった。

「自分の力を信じて、仲間の力を信じて挑んでほしい。普段やっている100%出してやれば勝てると思っている」(森保監督)

「スペイン戦は決勝トーナメントが1試合増えたような感覚。ベスト32という感覚で臨みたい」(権田修一)

会見場を和やかにした、森保監督の“あるジョーク”

 権田のポジティブな言葉は、チーム内の前向きなムードを代弁しているようである。コスタリカ戦の敗戦が醸し出す重苦しい流れを吹き飛ばすように、権田はこのように言った。

「何点以上取って勝たないといけない、という状況なら難しい感情だったかもしれない。でも、ドイツに勝てたことで、結果(勝敗)次第で上に行ける可能性を残せたのはポジティブなこと」

 森保監督は、監督と権田への共通質問が出た際、権田が立派な答弁をするのを聞いて「選手が非常にしっかりしたことを言ってくれるので監督が喋りづらい。先に喋ればよかった」と言って会見場を和ませた。

【次ページ】 大一番で仕掛けた“情報戦の真相”

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