Number的、ウマ娘の見方BACK NUMBER
「なぜ解説席にタマモクロスが?」『ウマ娘』4thイベントEX公演“夢の共演”を読み解く「ツルマルツヨシが“クラシック曲”を歌った理由は…」
text by
寺島史彦(Number編集部)Fumihiko Terashima
photograph by Cygames, Inc.
posted2022/11/30 17:01
<カノープス>が遂に集結し、「ユメヲカケル!」を歌う場面も。他の楽曲のウマ娘の組み合わせも考察していくと、さまざまな史実が浮かび上がってきた
「winning the soul」で思い出したツヨシ一世一代の大駆け
(11)winning the soul
「頂点を目指すという思いが私を、私たちを奮い立たせる」というシンボリルドルフ(CV:田所あずさ)の台詞からはじまる、ルドルフ、トウカイテイオー、ツルマルツヨシ、キタサンブラックによるステージでもツヨシの存在は光った。
「紡がれる魂の歌」というアナウンスの通り、ルドルフに憧れるテイオーとツヨシ、テイオーに憧れるキタサンという関係性が色濃く現れたラインナップとなった。テイオーはルドルフを「カイチョー」と呼んで敬慕し、ツヨシもまた『三冠ウマ娘』に強い憧れを持つウマ娘であり、ルドルフを尊敬してやまない。
前述のとおり、史実で2頭はルドルフの代表産駒である。
ツヨシは前述の99年京都大賞典の勝利ののち、天皇賞・秋(8着)を挟んで、テイオーに続く、父ルドルフとの有馬記念父仔制覇に挑んだ。このレースはスペシャルウィークのラストラン。最後のレースで宿命のライバル・グラスワンダーを相手に同年宝塚記念のリベンジを果たせるかどうか、に注目が集まっていた。ここでツヨシは一世一代の走りを見せる。
道中は中団、二強の前に位置取ると、抜群の瞬発力で直線は早めに抜け出し、残り30mまで先頭。最後は外から最強の2頭が強襲、さらに同年の皐月賞馬テイエムオペラオー(3着)に交わされ惜しくも4着に終わったものの、1着からはコンマ1秒差。グラスがわずか4cm、スペシャルを制して勝利を掴んだ歴史的一戦の影の主役ともいうべき、皇帝の血を受け継ぎ、「黄金世代」の一員にふさわしい才能を証明した激走だった。
『winning the soul』は「クラシック三冠に勝利した者だけがその歌唱を許される」とされる。この曲をツヨシが歌うというスペシャル感もさることながら、“一度きりの この瞬間に 賭けてみろ 自分を信じて”という一節に、あの有馬記念を重ねて考えると胸が熱くなってきた。
各キャストのパフォーマンスや丹念に作り込まれた演出そのものはもちろんのこと、史実を知れば知るほど楽しむことができる『ウマ娘』のライブイベント。「DAY2」の終盤には、今回につづくナンバリングイベントとして「5thイベント」も発表された。さらに細部にわたって練られたステージワーク、セットリスト、そしてキャストの組み合わせが『ウマ娘』トレーナーの心を震わせること、間違いなしだ。
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