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「近年ではほかに例がない」ジャパンカップ制覇、ダートから転身したヴェラアズールの“成り上がり”…1番人気シャフリヤールはなぜ負けた?
posted2022/11/28 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
強い海外勢を蹴散らし、またも日本馬が上位を独占した。
4頭の外国馬が参戦した第42回ジャパンカップ(11月27日、東京芝2400m、3歳以上GI)で、ライアン・ムーアが騎乗した3番人気のヴェラアズール(牡5歳、父エイシンフラッシュ、栗東・渡辺薫彦厩舎)が優勝。GI初出走で大仕事をやってのけ、父と管理調教師に初めてのビッグタイトルをプレゼントした。
掲示板に載る5着までを日本馬が独占。外国馬で最先着したのは、6着に追い込んできたグランドグローリーだった。
狭いところから豪快に抜け出したヴェラアズール
最後の直線に向いたとき、ヴェラアズールは密集した馬群のなかほどで行き場を失っていた。それでもムーアは慌てず、前を塞ぐ馬群の壁に隙間ができるのを待った。
ラスト400m地点でもまだ前があかず、内で粘るヴェルトライゼンデと、外から伸びてきたダノンベルーガとシャフリヤールの3頭の争いになるかに見えた。
しかし、ラスト300m地点で、突如ムーアのアクションが大きくなった。まだ完全に前は開き切っていなかったのだが、ラスト200mを切ったところでダノンベルーガの内に突っ込み、豪快に抜け出した。
「何度か前が塞がりましたが、開いてからは鋭い脚でゴールを切ることができました。最後に前が開いたとき、勝利を確信しました」
2019年の朝日杯フューチュリティステークス(サリオス)以来3年ぶり9度目の JRA・GI制覇を遂げたムーアはそう振り返った。
内も外も伸びる馬場状態だったため、直線に入っても馬群がバラけず、内は密集したままだった。ラスト500m付近で外に出しかけたが、進路がなく内に切り替え、狭いところから抜け出した騎乗は見事だった。