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夫は「成績が落ちたらお前のせいになる」と言われ…23歳“全盛期”に電撃引退→結婚の女子陸上・寺田明日香が8年後に「母で五輪出場」までの波乱万丈

posted2024/11/22 11:01

 
夫は「成績が落ちたらお前のせいになる」と言われ…23歳“全盛期”に電撃引退→結婚の女子陸上・寺田明日香が8年後に「母で五輪出場」までの波乱万丈<Number Web> photograph by (L)Yuki Suenaga、(R)JMPA

23歳で一度は引退したものの、結婚・出産→ラグビー転向を経て100mハードルの日本記録を更新した寺田明日香。そのウラには夫や娘との深い絆があった

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荘司結有

荘司結有Yu Shoji

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(L)Yuki Suenaga、(R)JMPA

 2019年、女子100mハードルで日本人初の12秒台をマークした寺田明日香(34歳)。23歳で引退後、結婚、大学進学、出産、ラグビー転向を経て6年後に再びトラックに立ち、東京五輪代表の座をつかみ取った。彼女を10代の頃から見守ってきたのが、現在はマネージャーを務める夫の佐藤峻一さん(41歳)だ。将来を嘱望された寺田と、当時陸連職員だった佐藤さんの交際には、多くのハードルがあったという。《NumberWeb「アスリート結婚特集」全3回の1回目/つづきを読む》

 ここ数年、好記録ラッシュが続く女子スプリントハードル種目。パリ五輪代表の福部真子(日本建設工業)、田中佑美(富士通)をはじめ12秒台ハードラーが続出している。

 日本で初めて13秒の壁を破った寺田明日香(ジャパンクリエイト)は、彼女たちの“姉貴”的な存在だ。

 北海道に生まれた寺田は、10代の頃から将来を期待された選手だった。恵庭北高でハードルを始め、インターハイ100mハードルで史上2人目の3連覇を達成。卒業後は福島千里、北風沙織らが所属していた「北海道ハイテクAC」に入り、日本選手権を同種目最年少で制している。

将来を嘱望される選手と連盟職員としての出会い

 一方、夫の佐藤さんは進学校として名高い開成高を卒業後、早大第一文学部に入学。大学院でスポーツビジネスを学び、日本陸上競技連盟に職員として採用された。

 寺田が佐藤さんに出会ったのは19歳のとき。長野である陸上イベントに参加する際、佐藤さんがスタッフとして同行したのがきっかけだった。

 当時、佐藤さんは陸連としては十数年ぶりの新卒採用の職員。必然的に、同年代や若い選手たちのマネージャー的存在になっていたという。

「お世話してくれる、いいお兄さん」「誰に対しても明るい子」当初の互いの印象は、その程度だった。

 佐藤さんはその後、寺田と連絡を取り合うようになったいきさつを鮮明に覚えているという。

 出会って半年後、2010年6月下旬にあった布勢スプリント。ハイテクACからは福島、北風、寺田がエントリー。佐藤さんもプライベートで現地に向かっていた。

「福島の誕生日が近かったんですよね。夜行バスの車内で『やべ、何か渡さなきゃ』って気づいて。途中のサービスエリアで3人分のお土産を買ったんです。1人だけにあげたらヤキモチ焼いちゃうかなって(笑)」(佐藤さん)

「焼かないよ!」(寺田)

【次ページ】 「寺田の成績が落ちたら、お前のせいになるぞ」

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