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なぜ“2大王座”のあるスターダムにIWGP女子王座が必要だったのか? 初代王者KAIRIは「唯一無二のベルトに」「序列なんてない」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/11/25 17:00
11月20日、岩谷麻優との死闘を制してIWGP女子初代王者に輝いたKAIRI。創設にあたって批判も浴びたベルトを「もっともっと輝かせる」と語った
KAIRI「価値は選手が決めるもの。序列なんてない」
最高王座に見えるベルトが3つあるというこの状況は、果たしてどんな効果を生むのだろうか?
以前、ロッシー小川エグゼクティブプロデューサーにインタビューしたとき、こんな言葉を口にしていた。
「プロレスって(観ている人の)思い入れで成り立つものですから、100人いれば100通りの答えがあるんですよ」
なにが「1番」なのか? それは試合そのものだけでなく、観る人の好みやタイミングによっても変わるだろう。
それでも、常に変わらないものがある。それは19日と20日に行われた3つのタイトルマッチ後、選手たちの言葉に表れていた「自分こそが1番」という思いだ。
大阪での試合を終えたKAIRIはこう話していた。
「どれでも価値は選手が決めるもの。序列なんてない、と私は思います」
KAIRIの「どれでも」には赤・白・IWGPの3つだけでなく、またシングル王座に限るわけでもなく、ゴッデス(タッグ)とアーティスト(6人タッグ)のベルトも含まれている。実際、2021年3月3日の日本武道館のメインは白いベルト戦だった。タッグ王座がシングル王座を押しのけてメインを務めた日もあった。
誰もが自分が1番であることを示すために走り続け、そうすることでベルトの価値は上がり、団体の地位も引き上げられる。3つの王座がいずれも最高のものに見えるという現在の状況は、「自分こそがナンバーワン」という意識の相乗効果をもたらす。
IWGPのベルトを巻いた“世界を知る海賊”KAIRIはこうも語った。
「キャリアも年齢も男女も関係なく、みんながそれぞれ素晴らしい試合をして、ファンのみなさんと、プロレスをもっともっと、愛して、愛して、大きなものに。日本も、もっともっとできると信じています」
IWGP女子王座の誕生は様々な面で、コロナ禍を抜けていよいよ攻勢に出ようとするプロレス界の象徴になるのだろう。
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