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なぜ“2大王座”のあるスターダムにIWGP女子王座が必要だったのか? 初代王者KAIRIは「唯一無二のベルトに」「序列なんてない」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/11/25 17:00
11月20日、岩谷麻優との死闘を制してIWGP女子初代王者に輝いたKAIRI。創設にあたって批判も浴びたベルトを「もっともっと輝かせる」と語った
2日間で争われた「3つのベルト」の行方は…
運命のいたずらか、白いベルト戦は8月の名古屋大会で行われるはずだった王者・上谷沙弥vs.KAIRIだった(8月はKAIRIが欠場)。KAIRIにとっては白いベルト、IWGPと2日続けてのタイトルマッチだ。
結果は30分時間切れ引き分けで上谷が防衛に成功。翌日にIWGP王座を獲得したKAIRIだが、白いベルトは奪えなかった。11度目の防衛となった上谷は「ドローではあったけど、この私が白いベルトの絶対王者だ」と堂々と宣言してみせた。
赤いベルト戦は王者・朱里vs.林下詩美。2人は昨年、時間切れ引き分けや両者KOを含む死闘を幾度も繰り広げているが、この日は2021年12月29日のタイトルマッチ(36分33秒)よりも短い28分14秒で朱里が勝利。その時間で決着したことが、昨年の激しすぎる戦いをさらに濃縮したぶつかり合いだったことを示していた。朱里は10度目の防衛となり「誰になんと言われようと、私はスターダム最高峰のチャンピオンとしてやってきた!」と叫んだ。
そして翌11月20日、KAIRIと岩谷のIWGP戦は、スターダムの初期から歴史を積み重ねてきた2人が、互いに打つ手がなくなっても戦い続けるという試合になった。両者のフィニッシュホールドであるインセインエルボーでも、2段式ドラゴンスープレックスでも終わらない激闘は、2発目のインセインエルボーを決めたKAIRIが“スターダムのアイコン”を振り切って結末を迎えた。
ピカピカのベルトを掲げたKAIRIは「ベルトができたとき、たくさんの意見があったと思うんですけど、必ずもっともっと輝かせて唯一無二の色にしてみせます。いろんな意味でワクワクする、夢の詰まったベルトにすることを誓います」と思いの丈を語った。
ネームバリューはIWGP、ドラマチックさは白、試合内容は赤……という単純な話でもない。試合結果でも試合内容でも、どれを最高だと思うかは各々の判断に委ねられている。