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なぜ“2大王座”のあるスターダムにIWGP女子王座が必要だったのか? 初代王者KAIRIは「唯一無二のベルトに」「序列なんてない」
posted2022/11/25 17:00
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
11月20日の有明アリーナ、新日本プロレスとスターダムによる初の合同興行『Historic X-over』のメインを飾ったのは、今年WWEから帰還したKAIRIと、“スターダムのアイコン”岩谷麻優によるIWGP女子初代王座決定戦だった。
新設された王座を懸けてセルリアンブルーのリングで行われた一戦を制し、KAIRIが女子初のIWGP王者となった。
スターダムのシングル王座、それぞれの位置づけとは
IWGP女子王座は「新日本とスターダムが現代のグローバルスタンダードとして、世界市場に打って出るタイトル」として創設された。しかし、ファンの多くは「スターダムに新しいシングル王座が増えた」と受け取った。IWGPの名を冠すことへの反対の声や、既存のタイトルを軽視しているように見えてしまうことへの不快感を示す声も少なくなかった。
IWGP女子王座創設以前、スターダムには既に5つのシングル王座があった。
◆フューチャー・オブ・スターダム王座(キャリア3年未満の選手限定)
◆ハイスピード王座(“速さ”に重点を置いたファイトスタイルのトップを争う)
◆SWA世界王座(異なる国籍の選手同士の対戦)
◆ワンダー・オブ・スターダム王座(白いベルト)
◆ワールド・オブ・スターダム王座(赤いベルト)
このうち、赤と白を2大王座とすることが多い。
そもそもは、赤が対外にも開かれた団体最高峰のタイトルで、白がスターダム内の中心人物を象徴するタイトルだ。たとえば岩谷は2014年7月に白いベルトを初獲得しているが、赤いベルトに手が届いたのはそれから約3年後の2017年6月(史上初の2冠王者誕生)だった。
現在でも赤いベルト戦がビッグマッチのトリを飾ることがほとんどだが、「赤は技術で、白は感情」(中野たむ)というベルトを取り巻く方向性の違いが色濃く表れることが多くなっており、優劣をつけられない“文字通りの2大王座”のようになっている。