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なぜ“2大王座”のあるスターダムにIWGP女子王座が必要だったのか? 初代王者KAIRIは「唯一無二のベルトに」「序列なんてない」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/11/25 17:00
11月20日、岩谷麻優との死闘を制してIWGP女子初代王者に輝いたKAIRI。創設にあたって批判も浴びたベルトを「もっともっと輝かせる」と語った
IWGPのベルトは赤や白よりも“上”なのか?
そうした状況で、新たにIWGP女子王座が作られる意義はどこにあるのだろうか。
IWGPは、新日本が誇る世界屈指のブランドだ。IWGPの4文字は、世界中で選手個人や団体にとっての“通行手形”となる。
また、創設時のコンセプトとして掲げられた「現代のグローバルスタンダード」という文言には、男子しかいない団体が海外ではスタンダードではなくなっている、という意味が含まれる。WWEやAEWだけでなく、メキシコでもイギリスでも、同じ団体の興行に男女どちらの試合も含まれるのが当たり前。世界最大のプロレスイベント、WWEのレッスルマニアのメインが女子王座戦になる時代だ。新日本がアメリカをはじめとした海外で大会を行うときに、「女子の試合がないのはおかしい」となる可能性は少なくない。IWGP女子王座は、グローバルスタンダードな価値観を持つ団体として海外市場で認められるために必要不可欠なものでもある。
海外市場に打って出ることを念頭に置くとその重要性がわかりやすくなるが、そうなると今度は「つまり、IWGPの方が赤いベルトや白いベルトよりも“上”なのか?」という疑問が生まれる。
先述したような“通行手形”としての力や、それまでスターダムを見たことがない人にとっての入口となる力は、IWGPの方が強いだろう。それまでの歴史や実際の試合、選手個人について詳しく知らない人たちにとって、IWGPという4文字が凄さの目安になる。
ただし、IWGPの文字に惹かれてスターダムを知ったとしても、そこからどのベルトを、どのレスラーを1番だと思うかまでは決まっていない。
直近のタイトルマッチを振り返っても、どのベルトが最上なのか、というのは誰にも決められないだろう。
新たなベルトの歴史が始まる前日の11月19日、スターダムはエディオンアリーナ大阪でビッグマッチを行った。当然、赤と白のタイトルマッチも組まれた。