Jをめぐる冒険BACK NUMBER
〈W杯初戦、守田英正が間に合わない?〉長友佑都も感心…堂安律の“鋭いドイツ考察+熱い決意”「全員がその覚悟はできている、と」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/11/20 18:38
集合写真で笑顔の堂安律(24歳/前列右から2人目)。長友佑都(同左から2人目)もその発信力を認めている
「シンプルにいい形で奪ったらワンタッチで出して、サイドの背後のスペースを狙っていくのがいいんじゃないかなと。自分はそこをうまく突けるように、狙っていきたい」
右サイドハーフでの先発出場が濃厚な伊東純也が言えば、1トップに入ることが予想される前田大然も言う。
「後ろの選手が上がって意外とスペースがある。カウンターのときにそういったところを突けたらいいかなと」
伊東と前田が指摘するスペースとは、ドイツの左サイドバックの後方に生まれるスペースのことだろう。ドイツは攻撃を組み立てる際、左サイドバックのラウムがかなり高いポジションを取り、4バックから3バックに変化させてくる。もちろん、ボランチのキミッヒがビルドアップに関わるなどパターンは多彩だが、相手を敵陣に押し込めたときにはリュディガーとジューレのふたりのセンターバックしか後方にいないこともあり、そこがひとつの狙い目というわけだ。
堂安「個が強くなりすぎて、組織がちょっとバラバラに」
さらに深く対戦国に踏み込んだのは、堂安律である。2020-21シーズンにはビーレフェルトに所属し、今季はフライブルクでプレーする堂安は、鋭い考察を披露した。
「昔は組織の中に個があるイメージだったんですけど、最近は個が強くなりすぎて、組織がちょっとバラバラになっているイメージがある。ムシアラ、サネ、ニャブリと前にタレントがいますけど、彼らがチームプレーヤーかというとハテナだと思うんで、そこに付け入るスキがあるのかなと。
あと、ゲーゲンメンタリティの部分でトーナメントに強いイメージがあったんですけど、4年前のロシア大会を見ても分かる通り、経験のある選手が引退して、少しずつ薄れているイメージもある。逆に日本は経験のある選手が残って、若手に伝えている。間違いなくそこは日本が積み上げてきた財産で、勝てるチャンスは大いにあると思います」
堂安は今、ブンデスリーガでバイエルンに次ぐ2位につけるフライブルクのレギュラーを張っている。その自信と自負があるのだろう、こんなことをさらりと言ってのけるのだ。
「カナダはフィジカルが強くて速い選手が多かった。ドイツはフィジカルは強いですけど、アジリティはカナダほどの能力はない。ラウムに関してもライプツィヒでのプレーは見ていますけど、特に苦手意識はない。上に見るんじゃなくて、互角にやり合えると思っているんで、期待してもらえたらなと思います」
欧州でプレーする選手がずらりと揃う森保ジャパンの強みがここにある。ブンデスリーガで日常的にバイエルンやドルトムントと対戦している選手たちは、ドイツが特別な相手だとは思っていないのだ。