プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ふてぶてしい態度、やめろ」田中将大に山崎武司は伝えた…「どこまで修正能力が!」11勝の高卒1年目より“9勝の2年目”が衝撃だったからこそ
posted2025/04/26 17:02

07年の交流戦、楽天対阪神でお立ち台に立って笑顔の楽天・田中将大と山崎武司
text by

間淳Jun Aida
photograph by
Sankei Shimbun
闘志を前面に出す将大…何かあったら守ろうと
どんなにアマチュア時代に騒がれた逸材だとしても――プロ野球の世界にアジャストしていくのは難しいもの。しかし1年目の田中将大について、楽天時代にチームメートだった山崎武司氏(現野球解説者)はプロ初登板から3週間で違いを感じていたという。
「目に見えて変わったのは気持ちを前に出すようになったことです。高校時代のように闘志を前面に出して、時に吠えていました。喜怒哀楽を出す選手は球界全体で少なくなりましたし、特にイーグルスは静かでしたから将大のスタイルはチームに良い影響を及ぼしたと感じています」
オープン戦の田中は気迫で打者に向かうスタイルを出していなかったという。山崎氏は「お客さんのようにおとなしかった」と振り返る。田中はグラブに「氣持ち」と刺繍しているように、投球に魂を乗せるタイプ。本来の姿を“解禁”した。
ADVERTISEMENT
年齢もキャリアも上の打者たちにも臆せず立ち向かい、結果を残す田中の投球はチームメートの心も動かした。山崎氏も、その1人だった。マウンドで雄叫びを上げる田中のスタイルは時に、打者の反感を買う可能性がある。相手打者を怒らせて田中が感情を抑え込んでしまうことがないよう、山崎氏は最大限の援護をすると決めた。
「将大が叫ぶのは相手打者に対してではなく、自分を奮い立たせるためです。でも、中には『この野郎』、『1年目のくせに何なんだ』と思う打者もいます。自分は球界でもベテランの立場だったので、闘志を前面に出すスタイルを将大が貫けるように何かあった時は守ろうと考えていました」
どこまで修正能力が高いんだ…
田中は先発投手が一軍定着に必要な要素も短期間で身に付けていた。ガムシャラに速球の球威で押して、スライダーで空振りを狙う投球から脱却した。山崎氏が語る。