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5回からクローザー登板もあり? WBC侍ジャパンで栗山監督に採用してほしいオリックス方式の必勝法とは…大谷翔平のリリーフ起用も
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/13 11:20
侍ジャパンに初招集されたオリックス山﨑颯一郎。巨人との強化試合では8回から2イニングを無失点に抑えた
来年3月に開催される第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)である。
栗山英樹監督率いる日本代表は11月5日から日本ハム、巨人と2連戦、さらに9、10日には予選同組のオーストラリアと2試合の強化試合を行い、4戦全勝で世界一奪回に向けた第一歩を踏み出した。
”第2先発”という発想
今回の強化試合の代表チームでは投手陣を全部で13人招集。本番でもこの13人という構成が基本になるだろう。
その中でシーズン中にリリーフの役割を担った投手はクローザーの大勢(巨人)と湯浅京己(阪神)の両投手に中継ぎの山﨑と森浦大輔投手(広島)の4人だけ。あとは全て先発からの選任だった。
背景にあるのは過去のWBCでもある意味、日本の売りだった“第2先発”という起用法だ。
大会では投手には厳しい球数制限が課されて、1次ラウンドでは65球をリミットに50球以上投げた投手は、次の登板までに中4日以上空けなければならないなどの規定がある。そこで、65球のリミットで先発投手を2人繋いで、試合の終盤までゲームを作るというのが“第2先発”の発想だ。
確かに日本は第2回大会以降は明確にこの考えで投手陣を構成して、優勝と2度のベスト4進出という成績を残してきている。ただ、その一方で他国の代表チームは先発投手の数を絞って、リリーフ投手を多く招集する投手陣の構成が多い。
アメリカは13人のうち先発型は4人だけ
例えば前回大会で優勝したアメリカは投手13人のうち前年に先発として投げていたのはマーカス・ストローマン投手(トロント・ブルージェイズ)、タナー・ロアーク投手(ワシントン・ナショナルズ)ら4人だけ。あとはリリーフ投手を中心の投手構成で臨んだチームを作っていた。
一番の要因は例年より約1か月早く肩を作り、全力である程度の球数を投げることへの危険性で、なかなか先発投手が参加しづらいということにある。その結果、ある意味、止むを得ない構成でもあるのだが、もう1つにはメジャーではやはりリリーフ登板の難しさから、専門職としての役割分担が明確に位置づけられていることもこの投手構成の大きな要因だ。