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冷房完備のスタジアムは22℃設定、あふれるマネーで目指すエコ…いつも工事中のW杯ホスト国カタールってどんなとこ? 

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岸名章友(日本経済新聞社)

岸名章友(日本経済新聞社)Akitomo Kishina

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posted2022/11/18 11:00

冷房完備のスタジアムは22℃設定、あふれるマネーで目指すエコ…いつも工事中のW杯ホスト国カタールってどんなとこ?<Number Web> photograph by Getty Images

決勝の舞台となるルサイルスタジアム。収容人員は8万人で、大会期間中、合計10試合が行われる予定

 11月はヨーロッパではシーズンのただなか、開幕の1週間前までリーグ戦があります。一区切り付けて準備期間をへて本大会、という「間」が今回はありません。ワールドカップの中断期間手前までは過密気味の連戦。大会前にケガに見舞われる選手が目立つのは、異例のスケジュールと無関係ではないと思われます。

 カタールの国番号にちなんだ「スタジアム974」は再生鋼材や974個の輸送コンテナをレゴブロックのように積み上げてつくられました。大会後は解体され、別の資材として再利用されるようです。こういうリサイクル発想が日韓大会でもあったならと、宮城スタジアムなど大会の遺物の現状を思うにつけ、考えてしまいます。

「エコな大会」は実現するか

 大会中の飛行機の使用が減り、地下鉄も利用でき、800台の電気バスも導入し、大会中に排出した二酸化炭素も相殺して「温室効果ガス排出が実質ゼロ」のエコな大会になると組織委はうたいます。ただしこの「ネット・ゼロ」については、欧米の市民団体が「環境への負荷を過小評価している」と疑問を投げかけています。

 ドーハは車社会。酷暑の日中に町歩きを敢行する人はまばら、車で移動して、ショッピングモールなどで涼む。町歩きを想定して街は作られていない印象で、グリーンな街には少し遠いイメージです。グリーンを気取れるほど、自然環境が生易しいものではないのでしょう。

「この街はいつもアンダーコンストラクション(建設中)」。タクシーの運転手は苦笑いしながら言っていました。「ウエスト・ベイ」と称される湾岸エリア近辺はリゾート地の趣で、高級ホテルや高層ビルが雨後のたけのこのように林立しています。著名選手の巨大ポスターが掲げられたビルの脇に、また新たな摩天楼がつくられていく。広大なショッピングモールの内部に運河(のような代物)やスケートリンクもつくっちゃう。砂漠や荒地を人間の手で変えていくエネルギッシュさがある一方で、やや人工的に過ぎる気がしないでもない。

 そしてその開発は、海外からの労働者に支えられたものでもあります。人権を無視した不当な労働がまかり通り、死者も出ていると欧米のメディアは指弾しており、組織委や国際サッカー連盟は火消しに躍起です。

 光あるところには影がある。華やかで「サステナブルなワールドカップ」の実相にも、目をこらしたいところです。

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